「きらめき」教養講座案内 | |||
藤沢周平の世界 〜人の心の温かさを求めて〜 |
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講師 木村 正明 氏(梅花女子大学日本文化創造学科教授) |
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講座の目的、概要 昨今、『たそがれ清兵衛』、『武士の一分』など藤沢周平の作品が映画化されたり、テレビドラマとして多くが取り上げらています(現在放映中のNHKテレビ『風の果て』など)。また雑誌特集があったり、藤沢周平関連の評論集なども出版されて、脚光を浴びている藤沢周平を本講座のテーマとしました。 今回の講座では、彼の作品から下級武士物を取り上げ、彼らの哀しいまでの生に向けられる優しい眼差しの裡を読み進めます。テキストは『たそがれ清兵衛』(新潮文庫)を使います。 ある日の講座風景 講座はクロスワードパズルをしたり、また奈良の都を紹介したプリントが配られ、パズルや奈良をめぐって講師と受講生との軽やかな会話のやりとりから始まりました。 気持ちがほぐれたところで、藤沢周平の世界へ。 今回は作品そのもの解説を離れ、下級武士の生活の実態について話をされました。 江戸時代の下級武士の生活を知るため、加賀藩前田家に仕えた猪山家の『武士の家計簿』(新潮新書)を資料として使われました。 収入の割には多い出費。武士故の身分を保つ費用や、武士同士の交際費(葬儀、婚礼、出産、病気見舞い、昇進、引越し)の多額なことなど、下級武士の生活の経済的困窮振りを、収入・支出の面から、実際に数字をあげて説かれました。 「禄高〇〇石」という表現の意味が受講者に十分に伝わったようでした。これによって、物語の背景が理解できて、藤沢文学を多面的に味わうことができました。 受講生から質問がでたり、笑いがあったりで終始おおらかで楽しい雰囲気の中、講座は進みました。 講師のコメント 〇今、藤沢周平のファンが増えていますが、その一つの要因は山田洋次監督が時代劇を手がけて映画化したことにあると思います。そのことによって新たな藤沢周平のファンが増えていることは確かです。 〇実は、バブルがはじけて世の中の不安感が増大してくる頃から、藤沢文学の読者は広まっていました。人としての生き方、本当の豊かさ、人を愛するということなど、ぎすぎすした世の中で今の日本人が忘れてしまった多くのことが描かれている世界が藤沢文学にあったのです。 〇主人公はごく普通の人物で、さまざまな世間のしがらみの中で生きています。読者はその世界に自分自身を重ねあわすことで魅力が増えているのではないでしょうか。 〇数ある作品の中でお勧めの作品としてあげるとすると、『隠し剣孤影抄』などのシリーズ、『用心棒日月抄』などのシリーズ、『橋ものがたり』がいいですね。 受講生のコメント 〇元々、藤沢周平の作品が好きだったので、読書仲間と一緒に受講しています。 〇人と人との関係が希薄になってきている昨今、藤沢文学には人情的なやさしさ。、ほのぼのとした風情が人間性の回復へと導いてくれます。この雰囲気が伝わり、しみわたって人間の心のふるさとを感じさせてくれるのですね。 〇講師の魅力にひかれて、3年連続で受講しています。お話が面白く、興味が尽きません。 〇山田洋次監督の映画「たそがれ清兵衛」と比較しながらの解説があるので興味深いです。 〇好きな作品は『三屋清左衛門残日録』『蝉しぐれ』『竹光始末』などたくさんあります。 取材アシスタントの一言 〇取材にあたり、『たそがれ清兵衛』などを映画やビデオで見ました。藤沢周平原作の『たそがれ清兵衛』とは全く違う映像作品になっていました。映画化するにあたり、藤沢作品の三つが一つの物語になっているからでした。 テレビや映画を見られた方も、今一度藤沢文学を活字で読んでみられてはいかがでしょう。 |
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