「きらめき」教養講座案内

    「江戸時代の上方文化」講座
    
        〜 西鶴の武道伝来記 諸国敵討を読んで〜


 講師 西島 孜哉 氏(武庫川女子大学教授)


  講座の概要、目的
  
 江戸時代の文豪西鶴・近松の作品からは、元気な時期の上方文化を読み取ることができます。彼らの描いた粋や義理・人情は、現代の社会にも引き継がれているはずです。作品をとおして上方文化の真髄について考えてみましょう。

  ある日の講座風景  漢文や古文を用いて

 井原西鶴集「武道伝来記 巻四 諸国敵討」より「第三 大蛇も世にある人が見た例」という話を中心に、その時代の大蛇について様々な角度からエピソードを交えて解説されました。江戸時代の文化、経済、社会的背景など、時代の枠組みを解説しながら、古文を読み進めておられましたました。
 また、西鶴が庶民的な中級武士を取り上げて、彼が武士をどのように見ていたのかを中心に講義がありました。
 受講生は二十四名です。中には講師と古典の魅力にひかれて何年も受講されている方もおられます。受講生は、皆さん熱心で、時には質問をしたり、笑いがあったりの活気のある充実すた講座風景でした。

講師のコメント
  
・上方文化(井原西鶴・近松門左衛門・松尾芭蕉)を取り上げて三年目になります。 
 古典を読みくだきながら、江戸時代の背景(文化・経済・組織等)を解説して、古典を面白く、楽しんでもらえるように考えています。
・作品を読むおもしろさを江戸時代の知識を深めながら、お伝えしています。中には難しい文章もありますが、おもしろいところもあり、解説を加えながら進めていきます。江戸時代の上方文化の中で、町人の生き方を通して、武士との生き方の違いも見ています。 
・西鶴の作品には、彼の目を通して見た町人の心や武士の心(世の人心)が描かれています。人間の生き方・人間の心のありようが、時をこえて現代に通じるものがあると思います。
・百年経っても、魅力を失わない古典を次世代にどう伝え、残していけるか。それが、今後の課題です。

  受講生のコメント

・曽根崎心中などの浄瑠璃を見る際に、江戸の文化を知ることが参考になりますで受講しています。江戸の前期の上方文化がどのようなものであったかがよく分かります。
・西鶴の経済観念、親子関係のあり方が作品を通じて分かり、それらは平成の現代にも相通じるものでもあります。       
・当時の大阪の町人の生活を通して、関西人の考え方や町人がどのように生きていたのかがよく分ります。特に、親子の関係がよく述べられていると思います。
・最近、近松や西鶴の本が本屋で見かけなくなりました。古典を読む人が少なくなっているせいでしょうか。仕方なく、古本屋をあさっています。

  取材アシスタントの一言
 
・西鶴の作品の中でも古典的な作品に接することができ、また、その当時の人々の様子が手にとるようにわかり、楽しく取材することができました。
・取材前に渡された資料を見て、古典は難しいし、今、なぜ西鶴なのか?  果たして理解できるだろうか? と、不安を抱きつつ迎えた取材でしたが、巧みな解説に、思わず笑っている自分がいました。有意義な講座です。
 皆さんも受講されてはいかがでしょうか。