「きらめき」イベント案内

 きらめき教養講座【悠久のロマンを求めて(2)】


講師:元大阪薫英女子短期大学助教授
東アジア比較文化国際会議会員
大原 正義 氏

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  大原正義先生は、平成19年度から茨木市立生涯学習センタ−教養講座の講師をされておられます。平成19年度は「唐の都《長安》に馳せる夢〜遣唐使の人びと〜」と題して、前期と後期を通じた1年間、講義をされました。
  今回紹介の講座は、平成20年度の前期講座として開催された「悠久のロマンを求めて」15回シリ−ズの続編で、前年度から2年間をかけて、日本から唐へ命がけで渡航した遣唐使と留学生たちの夢を追いかけておられます。
玄宗皇帝を中心に文化の華咲き誇る大唐の都《長安》、爛熟の国際都市《長安》を舞台に、遣唐使や留学生にも様々なドラマが生まれました。なかでも阿倍仲麻呂、藤原清河、悲運の求法僧と言われる霊仙などの死の謎に迫り、また遙かなる都《長安》に夢を馳せて多くのロマンを紡ぎだされています。講義一辺倒ではなく、ビデオや静止画像も用いて分かり易く工夫された講座です。
★講座のあらまし
  茨木市立生涯学習センタ−の平成20年度の後期教養講座悠久のロマンを求めて(2)は、平成20年10月〜平成21年2月に計15回のシリ−ズで、毎週土曜日午前の時間帯(10:00〜11:30)に、生涯学習センタ−"きらめき"4Fの研修室で開催されています。
  取材は、講座の後半になる第10回目の平成21年1月17日(土)にさせていただきました。大原講師自ら執筆された計93頁ものテキストを使用されて、第八次遣唐留学生であった阿倍仲麻呂の後半生を中心に、科挙(進士)合格や唐の役人として出世のこと、子供のこと、有名詩人との交流のこと、日本への帰郷が失敗し失意の晩年のことなどを。ビデオ30分では、王維、孟浩然、陶淵明の漢詩とその自然風景を紹介されていました。
  仲麻呂が晩年唐の女性と結婚したであろうことは、『続日本紀』の記事によって容易に推測されますが、子供をもうけた事実はまったくありません。「翼」と「翔」は、仲麻呂の従者である羽栗吉麻呂が唐の女性との間にもうけた混血児です。
  当日出席の皆さん15名は、大原講師の蘊蓄を傾けた講義とビデオを熱心に視聴され、メモ作成、テキストへの書き込み、また質疑応答されるなど、講師と受講生が同じ目線を持ちながらの講座は、非常に良い雰囲気に感じられました。
★ある日の講座風景点描
★大原講師からのコメント
私は昨年度からの新規担当で2年目ですが、奈良時代〜平安時代にかけて18次もあっ
 た遣唐使と留学生の話を、一環してさせて
 いただいております。
この時代は日本が積極的に、唐の政治制
 度・整然とした都づくり・豊かな文化などを
 取り 入れて発展していこうと進取の気概
 に富んだ時代で、大変興味を惹かれます。
受講生の皆さんも多くの方が昨年度から
 続けて受講されておられます。ありがたい
 と共に、その熱意に応えなければと思って
 私自身の励みになっています。
西暦630年(舒明2年)〜894年(寛平6年)の265年間に18回もあったという遣唐使の世界
  は、歴史上の人物もたくさん登場し大変興味深いです。
帰国して成功した人より、あの「井真成」のように帰国できず唐で亡くなられた人のことは余り
  知られていないので、もっともっと知りたいですね。
唐の有名な詩人と遣唐使や留学生の間に深い交際があったとは知りませんでした。
大原先生の講義はすごく聴き易く分かり易く、あっという間に時間が過ぎて行きます。
★受講生の感想・意見など
最澄や空海と同時に渡航した求法学問僧の霊仙は、密教を学んだが帰国できず非業の死を
  遂げた。もし帰国しておれば同じ実力僧がもう一人いて歴史も違っただろうとか。
大原講師は、昨年度〜今年度分のテキストを中心にまとめて一冊の単行本を出版される予
  定と言われる。一度読んでみたいと思います、待ち遠しいですね。
★取材担当アシスタントから