「きらめき」講座案内
  李白を読む 
                                                     よすが
        〜中国四千年の文化を理解する縁に〜
            

講師:元大阪青山短期大学教授 神楽岡 昌俊 氏

 
 茨木市立生涯学習センタ−の平成20年度教養講座「李白を読む」は、
平成20年5月〜平成21年2月に通年講座の一つとして計30回のシリ−ズにて、
水曜日午後Bの時間帯(15:30〜17:00)に、
生涯学習センタ−"きらめき"4Fの研修室で
開催されています。


★講座のあらまし
 

 中国の漢詩といって真っ先に上がるのは
李白と杜甫です。二人とも唐代の同時期の詩
人です。李白は豪放闊達で「詩仙」と言われ、
杜甫は沈鬱憂愁で「詩聖」と称されました。
 神楽岡講師が生涯学習センタ−で10年近く
続けておられる中国文化に関する教養講座の
平成20年度では、この「李白」の漢詩をテ−マ
に、「白髪三千丈」や「月下獨酌」などの詩の、読み上げ、現代語訳と意味、バックグランド、
さらに当時の地理や世相などまで、豊かな博識で講義をされておられます。


★「李白」という詩人
                                               しょく
 中国、玄宗皇帝と楊貴妃で知られる盛唐時代の詩人(西暦701年〜762年)。蜀(今の四川省)
の人という。仙と剣と侠と酒と旅を愛し、何ものにも束縛されない人柄で、才気に溢れた自由奔
放、豪放磊落な詩風。楽府(がふ)と絶句に傑作が多い。生涯に千首以上の詩を作った。
(楽府)…漢詩の種類の一つ。古詩の一体。長句と短句を交えた変化のあるもの。
(絶句)…漢詩の一体。起・承・転・結の四句からなる。一句の字数により五言絶句と七言絶句
がある。


★ある日の講座風景点描

 取材は、講座の中頃となる第17回目の平成20年10月22日(水)にさせていただきました。
この日のテ−マは「風流」という分野で、「越女の詞」、「採蓮曲」(さいれんきょく)、「少年行」、
「楊叛児」(ようはんじ)、という4つの詩を取り上げておられました。
 「越女の詞」は艶っぽい詩で、皆さん楽しんで聴いておられました。どの詩もスケ−ルの大きい
表現は素晴らしいもので、はるか昔の唐代の情景が浮かび出てくるのは、素直な感情をダイナ
ミックに表現する李白の詩風だからなのだろう、と思いました。
 当日出席のみなさんは、神楽岡講師の蘊蓄を傾けた講義を熱心に聴講され、メモをとったり、
テキストへの書き込み、また活発に質疑応答されるなど、講師と受講者が親近感を保ちながら
の講座は、とても良い雰囲気でした。


★神楽岡講師からのコメント

◆今回の主テキストは、岩波文庫版「李白詩選」松浦友久・編訳を使用しています。
◆李白の詩を分類してみると、探勝、旅情、愛情、友情、愛酒、風流、宮女、思婦、戦争、
  仙道、その他、になります。講義では各々の分野の代表的な詩を取り上げています。
◆私は受講される皆さんに、中国文化のすばらしさを理解していただくと共に、唐詩の魅力、
  諺や漢字が人をより豊かにすることを知ってほしいのです。
◆受講者が講座に溶け込んできており、また質問に答えきれず私自身への宿題になることもあ
  ります。共に楽しく学んでいるという感じがしています。


★受講者の感想・意見など

◆先生の講座は「論語」「陶淵明」「李白」と3年目になります。どんな質問にも丁寧に応じていた
  だけるので、大変魅力を感じます。今後も続けて受講したいと思います。
◆中国四千年の歴史と文化をいろいろ教えていただけるのが楽しいです。先生の該博な知識
  と誠実な人柄に惹かれて毎年受講しています。ずっとついて行きたいです。
◆先生は中国全土を何度も実際に歩いて現地を見られたとか。話に迫力がありますね。
◆私は書道を習っていて漢詩や漢文を書くことが多いです。単に文字を書くだけでなく、その背
  景を知れば文字に深みが出るのでは、と思って受講を続けています。


★取材担当のアシスタントから

◆奥深い中国四千年の歴史と文化を、楽しみながら学べる良い講座だと思いました。
◆神楽岡講師はこの10年近く、「三国志」「孫子」「論語」「唐詩選」「陶淵明」などを題材に、中国
  文化の素晴らしさを伝えてこられました。来年度はもう一人の詩人「杜甫」をテ−マにしてみた
  いとか。李白とは正反対の詩人であり、これも楽しみですね。
◆私も「白髪三千丈」の詩文を詠んでみました。題名は「秋浦(しゅうほ)の歌・其の十五」です。
     白 髪 三 千 丈   白 髪 三 千 丈
     縁 愁 似 箇 長   愁(うれ)い に 縁(よ) り て 箇(かく) の 似(ごと)く 長 し
     不 知 明 鏡 裏   知 ら ず 明 鏡 の 裏
     何 處 得 秋 霜   何(いず) れ の 處 (ところ)に か 秋 霜 (しゅうそう) を 得 た る
      わが白髪が三千丈にも伸びてしまった。愁いのためにこんなに長くなってしまったのだ。
      澄んだ鏡の中に写る私の頭へ、いったいどこから秋の霜が降りてきたのだろうか。