茨木には自然歩道として、竜王山・武士・山脈・鉢伏・北山・キリシタンの6コースと東海自然歩道を組み合わせたコースなどがあります。
 そこで、まなびどり探検隊はこれらの歩道を実際に歩いて、四季折々の自然をシリーズでお届けします。今回は春に取材した竜王山自然歩道と東海自然歩道の一部を紹介します。




 忍頂寺バス停から竜王山頂(510m)を経由し、穴仏・負嫁岩を通り、車作大橋に至るコースと、このコースに加えて、竜仙の滝から萩谷・摂津峡を経由して上の口バス停に至る約10kmを歩いてみました。

 

 阪急茨木市駅8:07発忍頂寺行バスに乗車。総勢5人のまなびどり探検隊は、9時過ぎ忍頂寺バス停に到着。まず忍頂寺スポーツ公園内の竜王山荘に立ち寄り、周辺マップを頂く。山荘を出て右方の忍頂寺・寿命院へ。この辺りは大阪みどりの百選に指定されていて新緑がまぶしい。薬師如来を本尊とする本堂の裏手の小高い所に由緒のありそうな五輪塔を見つける。
本堂横のやや険しい山道もあるが、一行はゆるやかな舗装道を選ぶ。忍頂寺地名由来の看板と参道碑を通り過ぎ、「蛙石」に出合う。寺と山頂の中間点に位置するところだ。やがて舗装道が消え、うっそうとした杉林に八大龍王・白寿龍神などの古い碑が現れ、竜王山への昔からの信仰がうかがえる。山荘からほぼ1時間、宝池寺・八大龍王宮で小休止。さらに15分ほどで山頂に着く。最近山頂展望台が一新。木造で13mの高さがあり、見晴らしは抜群。一度竜王山頂へ行かれることをお勧めする。


 忍頂寺・寿命院本堂


 休憩後、穴仏・負嫁岩経由の道を車作方面へ。急坂を30分ほど下った所に穴仏・負嫁岩への道標があり、それに従う。穴仏の大岩の穴にろうそくと小さな祠がある。ここは戦国時代、乱世の難を避けるため、忍頂寺本堂の薬師如来を岩穴へ避難させ安置したところである。さらに負嫁岩の横を抜けしばらく下ると、北山自然歩道との分岐に出るので、右にたどると権内水路(深山水路)だ。ここからゆるやかな道を下り車作集落に着く。(12:40)

竜王展望台

 

 車作から川沿いの府道(茨木亀岡線)を約10分北上し、竜仙の滝の入り口に着く。この道はダンプカーが多く、一列に慎重に歩く。滝への道は比較的ゆるやかで、15分ほどで高さ13mの細い竜仙の滝に出る。新緑が美しい中で少々遅い昼食をとる。
昼食後、滝右の急坂を萩谷へ向け出発。畑が現れ、やがて萩谷集落へ。街道を横切りしばらく行くと、眼前に萩谷運動公園が広がる。
休憩後、木道を下る。本流との分岐点に来るとそこは水量豊かな摂津峡だ。美しい峡の景色を楽しみながら、舗装路に出て上の口バス停に到着。
(15:25)
上の口からはJR高槻駅へバスが頻繁に出ており、帰路は大変便利である。

 

忍頂寺・寿命院

 約1100年の昔、貞観年中に三澄が国家安寧を祈願するために建てた寺院で、寺号は清和天皇から賜ったものといわれる。織田信長の保護を受けたが、切支丹宗伝播のため寺院は焼かれてしまった。現在はその寺院の一坊であった寿命院が残っている。
 堂後に元亨元年(1321年)7月に造立された五輪塔がある。

負嫁岩(およめいわ)

 竜王山の近くにあるこの村は、昔から働き者の村として有名であった。ある村からお嫁さんがやって来たが、日々の厳しい仕事に耐えかね怠け心をおこす。毎日のように家人を欺く口実を作り、この岩に座って憩いの場とした。ある日、この岩に住む天狗がお嫁さんの前に現れ、大声で叱り、あげくの果てに岩の上の松の木にくくりつけてしまった。そのまま天狗は消え去ったが、このお嫁さんは食べることも飲むこともできずに餓死してしまったとのことである。

参考文献:「わがまち茨木 民話・伝説編」茨木市教育委員会

 忍頂寺バス停から上の口まで、ゆっくりとした山行で6時間少々かかりました。まなびどり探検隊としては、新緑の茨木と高槻の自然歩道を十分に満喫し、充実した一日でした。

担当:阿曽・岩本・河村・野間・藤原  絵:藤原



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