茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、きっとあなたも勇気づけられることでしょう。



育児絵日記から手づくり絵本へ。念願の受賞後も自身の創作活動のみならず、各地で絵本教室や展示会開催など大活躍の毎日。笑顔で語る「手づくり絵本の魅力」とは…


絵本をつくるきっかけになったことは何ですか。


子どもがしゃべりかける2歳ごろ、なに気なく発する言葉がとても新鮮で、育児絵日記に書き留めるようになりました。子どもの素直な疑問や発想など、大人にはないユニークな表現をなんとか形に残しておきたい欲求に駆られ、夫に勧められるままに絵本づくりをはじめました。


絵本づくりの喜びや苦労とはどんなことですか。


絵本づくりには、何枚もの絵を描きためるエネルギーが必要です。私は日常生活の中で心を動かされたものに題材を求め、アクリル絵の具・水彩絵の具・色鉛筆などの混合技法で、これまでに70冊ほどつくりました。アイデアがひらめき、構想を練り上げていく過程そのものは楽しいのですが、ときにはそれが具体化せず、生みの苦しみを味わうこともあります。それでもこの世にたった1冊しかない絵本が完成したときの喜びはひとしおです。展示会で共感されたときや絵本づくりにかかわる人たちとの出会いと交流は、絵本づくりの楽しみを倍増させてくれます。


絵本『ハラダさんのハラハラ記念日』で、富山県大島町絵本館の第5回全国手づくり絵本コンクール(平成10年)最優秀賞を受賞されましたが、受賞に際してのエピソードなどはありますか。


当初は、冬季・長野五輪(平成10年)の各種目の印象的な場面を題材にしようと考えていたのですが、スキージャンプの団体戦で、原田雅彦選手のドラマのような展開を見て一気に「とびだす絵本」の構想がわき、あの感動の瞬間を“ゆきんこ”に託してみました。受賞の後、出版するにあたって原田選手にお会いしたのですが、テレビ画面のソフトな印象とは違って、スポーツマンらしくとてもたくましい人でした。


現在はどのような活動をされているのでしょう。


手づくり絵本グループ「たんぽぽ」を結成して、中央図書館などで月2回テーマを決めて絵本づくりを楽しんでいます。1年半に1回作品展をし、この5月にも中央図書館で「手づくり絵本と原画展」を開きました。西公民館では、子どもと大人がいっしょに楽しめる絵本講習会をしています。毎年11月の公民館文化展で成果をみてもらっています。私個人の活動としては、絵本教室を開いたり、個展や二人展・絵本学会での作品発表・大島町手づくり絵本コンクールのOB会の行事企画などをしています。


これから絵本づくりをしてみようと考えている人へのアドバイスをお願いします。


「絵はうまくなくてもいいから自分を出して楽しもう」が基本にあります。模倣から始めてもいいので、試行錯誤をしながら、とにかく心を動かされた対象を絵にしてみる。それには常日ごろから好奇心を失わず、いろいろなことに興味をもって生活していくことでしょう。


村上さんにとっての「生涯学習」とは、また将来の構想(夢)はお持ちですか。


私にとっての生涯学習とは、毎日の生活体験を通して、興味を覚えたことを自己表現する「絵本づくり」を続けていくことでしょうか。将来的には、絵本づくりを気軽に楽しめる「アトリエ」のような空間を持つことが夢です。そしてそこへ人々が集ってきてくれたらいいなと思います。



終始明るい笑顔で前向きに語る村上さん。そのやさしく熱いまなざしが多くの人をひきつけるのでしょう。世界でたった1冊しかない手づくり絵本の輪が、大きく広がっているのを感じました。


「ハラダさんのハラハラ記念日」

担当:鍜治・野間


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