第14回

 ふる里熊本のクラス会。四十三年ぶりの再会は「あんた誰だったかなあ」の第一声から始まった。出席者は男女ともで十一人。髪は白く薄くなってはいたが、目元と声で名前、顔がよみがえるには時間はかからず、お互いすぐに高校生に戻ってしまった。
 いよいよ懇親会が始まり、気配りのよい幹事殿は校歌のテープ、卒業アルバムまで準備し、元コーラス部の女性のリードで斉唱(?)する。懐かしい教室、体育祭、文化祭の写真で笑い、語り合った。恩師や欠席の友人の消息から始まり、夫、妻、子どもそして孫のことまで進展し、深夜まで話が尽きなかった。
 まだ現役で頑張っている人、新しい職場での再出発の人、趣味に力を入れている人、今になって何かを模索している私など様々な生活模様が紹介され、故郷からかけ離れた三重・湯の山温泉のホテルの一室での楽しいひとときはあっという間に過ぎた。 
 還暦からの再出発。当然のことながら「心も体も健康で!」の合い言葉で再会を固く約束して散会となり、久しぶりに清々しい気持ちで帰路についた。
 

宮原 昭