茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、きっとあなたも勇気づけられることでしょう。



 13年前に脳梗塞で倒れ危篤状態から脱した後、後遺症との闘いが始まる。その体験を生かそうと、自主運営組織脳卒中後遺症者の会「いきいき友の会」を設立する。


倒れられた時の状況とその後の闘病体験をお聞かせください。


 平成3年(1991年)5月の早朝、平穏無事に生活してきた人生が一変しました。目を覚ますと目の前が真っ暗になり、手足がまひしていたのです。すぐに脳梗塞だとわかりました。救急車の中で意識が遠のき、自分は死ぬんだなと思いました。数日後、意識を取り戻しましたが、依然と危険な状態が続きました。1カ月後、のどに取り付けた人工呼吸器を外すと、元気な声が出たことで希望を見いだし、社会復帰をめざして懸命のリハビリをしました。おかげで4カ月後には車いすで退院できたのですが、すぐに再発。情緒障害で怒りが暴発し自己統制もできず、つらい孤独な日々を送っていました。そんな時、友人の医師から「自分の脳を活性化できるのは自分しかいない」と厳しくも温かい言葉に励まされ、また5年かかって言葉を回復した方の体験談に勇気づけられ、再びリハビリに励むようになりました。この時、精神的なトンネルから抜け出せたように思いました。


会の設立の経緯をお聞かせください。


 保健所、市の保健医療センターなどが支援している地区機能訓練教室(大阪府初)を東地区公民館で行っていると聞いて出かけてみると、そこではいろいろな症状の方が明るく頑張っていました。参加して10カ月たち、自信もでてきたので、障害者のやる気をより引き出すための組織を目指し、平成6年(1994年)1月、障害者と介護者の自主組織「いきいき友の会」ができました。この会は地区機能訓練教室と並立し、仲間同士で励まし、生きがいを見つける心のリハビリに重点を置いています。寝たきりの原因の1位は脳卒中です。障害者も介護者もともに楽しむことができ、心が軽くなるような催しを計画し実行しています。


会の活動内容をお聞かせください。


 料理教室、バス旅行、介護相談、講演会などさまざまな活動をしていますが、押しつけず人に頼らず、自分たちで話し合い行動するようにしています。また障害者と介護者の癒しの場となるように、情報交換や不満や愚痴も言える懇親会を開いています。地域行事の敬老会にはハンドベル演奏でも積極的に参加し、地域の活性化に寄与して、ともに支え合う共生関係をつくっていければと思っています。


今後の目標、課題はありますか。


 脳卒中の発症者は減らないのに新会員が増えません。仲間同士が励まし合うことで、機能回復や生活の質が向上し、最高の力になると信じています。まずは東地区公民館での活動を体験していただき、いっしょに楽しんでください。


藤アさんにとって「生涯学習」とは何ですか。


 私は一生が学習だと思っています。病気になって不運でしたが不幸ではありませんでした。病気をしたことで生活が変わり、新しい人間関係が生まれ、新鮮な感動がありました。子どものような好奇心で前向きに人生を楽しみ学びましょう。
 あ あきらめない ありのまま堂々と
 い 生きがいをもつ
 う 運があった 上を向いてゆっくり歩こう
 え エスケープしない 仲間とともに
 お 応援されるより 応援する方に



 明るく胸をはって語る藤アさんは、まさに77歳青春まっしぐらの人でした。


担当:阿曽 崎間 東實 西村