市民インタビュー

グループ紹介
第21回

 茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、きっとあなたも勇気づけられることでしょう

小村一也さん

小村一也さん

 琵琶湖・淀川水系にすむ淡水魚の姿を石に描き続ける小村一也さん。自然の石をキャンパスに、水面下の魚の情景を原寸大にリアルに表現する。小村さんに『石に棲む魚』の世界を語っていただきました。

石に魚の絵を描くようになったきっかけは何ですか。
 長女は1歳半で心臓の手術を受けてから、見違えるように元気になり、外で遊ぶのが好きな子になりました。ある日河川敷を歩いていると、長女が石を拾ってきて、「石に魚を描いて」と言いました。この一言が私の転機となり、それから本格的に『石に棲む魚』の創作活動に入りました。やっとやりたいことに出合えたという思いでした。

 

どのような方法で描くのですか。
 石は基本的には汚れを拭き取るだけでそのまま使います。上流にすむ魚は上流の石に、下流にすむ魚は下流の石に描きます。親しい石屋さんに探してもらった石を切って使うこともあります。絵の具はアクリル絵の具を使い、重ね塗りをします。細かい所を描く筆はネールアート用を使います。下絵なしで描くのですが、描き慣れた魚だと45分から半日で描きます。大事なことは正確に描くということです。ウロコの数や形などもうそのないようにしています。石に描く魚の大きさも原寸大です。しかし正確さだけでなく、生き生きとした動きを出すように工夫して描いています。そのために、目には少し「表情」を入れています。

 

琵琶湖・淀川水系の淡水魚を題材にしているのはなぜですか。
 身近にある自然を、少しでも知ってもらいたいという気持ちです。子どもの時から茨木に住んでいて、安威川や茨木川は私にとってはなじみ深い場所でした。川と水辺と魚は子どもの頃からの親しい仲間です。安威川上流には希少種も生息しており、また琵琶湖やほかの淀川水系の川にも固有種がいます。それらの魚を絵にして残しておきたいと思ったのです。

 

河川の環境についてどう思いますか。
 人と自然との折り合いは難しい問題です。世の中の流れの中で、どうしようもない現実があります。しかし近くの川を見ていると、行政もよく頑張っているなと感じています。訪れる人たちのマナーもよくなっているようです。環境は油断するとすぐに悪化します。生き物の生態をよく知って、人との共生ができる環境が作れるといいですね。

 

絵から何を伝えたいですか。
 表情がある生き生きとした絵を描き、子どもが自然に興味を持ち、そこから親子のコミュニケーションが生まれたらいいなと思っています。私は身近なもの、見過ごされているものを描きたいと常々思っています。そうすると必然的に自分の住んでいる街に目を向けることになります。この絵から自分たちの身近な自然を感じ取ってもらえればうれしいです。

 

今後の目標は何ですか。また小村さんにとって「生涯学習」とは何ですか。
 生きている間に、目の前にある自然をできるだけ多く描き、それらを次世代に残すことができたらと願っています。私の一生をかけて、ありとあらゆる自然から多くのことを学ぶ。それが私の「生涯学習」です。

さかな1

さかな2

担当:崎間 宮原