第17回

 戦後六十年が過ぎ、日本経済は大いに発展し、世界でも有数の大国となりました。また熊野・吉野を始め世界遺産に数多く登録されているように、文化の面でも世界の注目を集めています。
 一方、精神的な面においては、いびつな状況をみることができます。権利が最大限に主張され、義務がなおざりにされている世相を感じます。日本の豊かな精神世界を表す言葉、「和を尊ぶ」ということをもう一度見直す時になっているように思われます。
 私は毎朝、小学校の校門で登校する子どもたちと挨拶を交わしているのですが、そこには人間が本来もっている「すなおさ」「やさしさ」「明るさ」そして「人なつっこさ」を肌で感じることができます。
 世の中が大きく変化していく中にあって、子どもたちがもっている感性に共感しながら、肩肘張らずに社会への貢献をしていきたいと思います。「無理を通せば道理が引っ込む」などというような肩苦しい生活から離れ、自由な時間を楽しみ、生きがいのある日々を過ごせたらと思うことが多い昨今です。

西村 正弘