指定文化財を訪ねて
 〜仏像に見る美と心〜

 茨木には、仏像や絵画、工芸品などの市指定文化財のほか、府や国の指定文化財があります。今回、『まなびどり』編集ボランティアは、三カ所の古寺を訪ねました。
 歴史の中に埋もれることなく、大切に受け継がれた仏像の美しさと境内の静寂に、心が洗われるひとときでした。

大門寺山門
@木造十一面観音立像
●蓮花寺
●大阪府指定文化財
●天王二丁目
 ヒノキ材の寄木造りで、額の中央に水晶がはめ込まれている。像高は144.1cm。
 胴から腰にかけての曲線や流れるような衣の表現は平安後期の作風。強い腰のひねりなどは鎌倉初期の特色で、平安末期の様式を含む鎌倉初期の作と考えられている。
@木造十一面観音立像(蓮花寺)

A木造地蔵菩薩立像
●蓮花寺
●大阪府指定文化財
●天王二丁目
 クス材の一木造りで、像高は114.5cm。
 温和な表情で、胸や腿の肉付きから若い托鉢僧の姿を描き出した力強い像との見方もある。平安時代の作。
A木造地蔵菩薩立像(蓮花寺)

B木造毘沙門天立像
●大念寺
●茨木市指定文化財
●安威三丁目
 ヒノキ材の寄木造りで、眼には玉がはめ込まれている。像高は99.6cm 。
 力強い姿と薄い衣の質感などから鎌倉時代の作とみられ、衣の表現が誇張されていることから鎌倉時代でも中期〜後期の作と考えられている。
B木造毘沙門天立像(大念寺)

木造四天王立像
C持国天 D増長天
●大門寺
●国指定文化財(重要文化財)
●大字大門寺
 ヒノキ材の寄木造りで、像高は、持国天は101.0cm、増長天は105.6cm。京風の作りを持つ。平安時代の作。
 広目天と多聞天は、大阪市立美術館に貸出中。
C持国天(大門寺)
D増長天(大門寺)
大門寺の木造如意輪観音座像と木造四天王立像は、実際の仏像を見ることができず、ご住職の説明による取材でした。

E木造如意輪観音座像
●大門寺
●国指定文化財(重要文化財)
●大字大門寺
 クス材の一木造りで、像高は58.6cm。
 蓮弁ではなく、岩をかたどった上に半迦思惟の姿で座している。光背はヒノキ材。 平安時代の作。
E木造如意輪観音座像 (大門寺)

担当:阿曽 野間