市民インタビュー

 茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、きっとあなたも勇気づけられることでしょう。

 今年は、サッカーのW杯がドイツで開催されます。前回は日本と韓国で開催され、多くの人がサッカーの観戦を楽しむようになりました。
 松尾さんは、日本で10人いる国際審判員(主審)の中の一人です。ここまでの道のりや試合での心構えなど、興味深い話を聞きました。
サッカーは小さい時から好きだったのですか。
 小学校低学年の頃は、父の影響もあって野球をやっていましたが、小学5年生になってサッカーを始めました。もともとスポーツは何でも好きだったので週末は、土曜日はサッカーを、日曜日は野球をして過ごしました。中学校では、サッカーをやっている友達が多かったのでサッカー部に入り、高校、大学へと進学しても、そのままサッカーを続けました。

サッカーの審判員になろうと思ったきっかけは何ですか。
 大学での練習の時に、手伝いで審判をやる機会がありました。また時間があれば、地元の少年サッカークラブへ顔を出し、子どもの試合で審判を務めたりしていました。その時審判のおもしろさを知ったように思います。資格を取るために講習会へも行きました。審判の資格を4・3・2級と取得していくうちに、審判員という立場でサッカーにかかわることができるんだということに気づきました。サッカーを通して出会った多くの人との交流やアドバイスも自信になりました。大阪で開催された「なみはや国体」も大きなきっかけでしたね。

国際審判員への過程を教えてください。
 審判員になるためには、筆記、体力、実技などの審査があります。1級審判員になるには、1年をかけて審査されます。インスペクターと称する人が、試合での審判の様子を見て評価します。現在、1級審判員は全国で約130人が登録されています。国際審判員になるには、Jリーグなど国内の試合における態度や判定などを審査され、その評価をもとに、日本サッカー協会から国際サッカー連盟(FIFA)へ推薦されます。日本では現在、主審が10人、副審が10人です。1年ごとに入れ替えがあります。
試合中にはいろいろなことが起こりますが、どのようなことに気を付けていますか。
 私は現在、Jリーグやアジアでの国際試合の審判をすることが多いのですが、試合中は刻々と場面が変化します。常にとっさの判断と選択能力が求められますから、日頃からいろいろな場面を想定し、イメージトレーニングをしておきます。こうすることで気持ちをコントロールし、冷静なジャッジができるようになります。またビデオを見たり情報交換をしたりもしています。一つのジャッジに選手や観客などが反応しますから、いつも自分を客観的に見るように心掛けています。

サッカーを楽しく観戦する見方はありますか。
 サッカーの試合は、テレビ観戦でも充分に楽しめますが、実際に会場に行って観戦すると、試合の雰囲気がより伝わってきます。選手の動きや声が、また観客の声援が試合の緊張感を肌で感じさせてくれます。今年はW杯がドイツで開催されます。試合だけでなく、いろいろな国の文化を知るいい機会ですね。

松尾さんにとって「生涯学習」とは何ですか。
 審判活動での人との出会いは、いつも私に多くのことを学ばせてくれます。試合で全国を回り、その土地の良さも知りました。海外では、その国の言葉と文化を勉強することができました。こうした経験を通して、私は人との出会いが一番だと思っています。私にとって「生涯学習」とは、人との出会いの中でさまざまなことを学ぶということです。それがなければ今の自分はないのですから。

 審判員は、技術、体力、精神力のどれが欠けても務まらないことを改めて知りました。サッカーの試合観戦では、選手だけでなく、審判員にも注目してみようと思いました。


担当:宮崎