市民インタビュー

 第27回

 茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、あなたもきっと勇気づけられることでしょう。

「大岩太鼓」保存会会長

  峯 義昭さん(みね よしあき)


 享禄元年(1528年)から今日までの478年間続く伝統太鼓「大岩太鼓」を保存し継承している。明治に途絶えた太鼓巡行を、昭和60年に1世紀ぶりに復活させた。その活動は、茨木市内だけでなく海外にも及ぶ。また、学校、施設などにも出向き、各世代との交流を図っている。



「大岩太鼓」の歴史を教えてください。

 享禄元年(1528年)に大太鼓3基を購入してから平成18年(2006年)の今日まで、478年の歴史があります。享禄元年とわかったのは、太鼓を張り替えた時、胴の部分から「享禄元年」の文字が確認されたからです。約30年後に太鼓巡行が始まりましたが、明治16年(1883年)に、時代の変化などによる担ぎ手不足で途絶えてしまいました。
 私の家には太鼓の歴史に関する和紙の綴りがあったのですが、いつしか紛失してしまいました。幸い、祖父がその歴史やたたき方などを覚えていて、父と私が引き継ぎました。由緒ある太鼓や語り継がれた歴史などから太鼓巡行の復活を強く思い、地域の有志に働きかけて、昭和60年(1985年)に活動を再開しました。
太鼓巡行の原動力は何ですか。
 何としても守りたいという使命感でしょうか。先祖が、長年引き継いできたこの地域の古い歴史を消してはならないという思いは、子どもの頃からのものでした。また、太鼓巡行の復活は父の願いでもありました。


「大岩太鼓」を保存・伝承することの苦労や喜びを教えてください。

 昭和62年(1987年)に「大岩太鼓」の保存会が結成されるのですが、いきなりやろうと言っても人は集まりません。人々の絆と地域の協力が必要です。父からも「人の心を財産に」と教えられました。まずは地域の交流を図ろうと40人ほどでソフトボールを始めました。4・5年が経ち親睦も深まり、さらなる地域の活動を盛り上げようと「太鼓を復活させよう」ということになりました。その間多少の苦労はありましたが、太鼓を通しての地域の活性化や世代間交流ができ、うれしく思います。メンバーも小学生から60歳代までいます。復活して今年で22年。当時のビデオを見ると感慨無量です。


活動で何か気を付けていることがありますか。

 大人には暴飲暴食はしないように、子どもには太鼓に対して一生懸命取り組むようにと言っています。子どもにとって一つのことをやり遂げるという達成感は、勉強や友達関係にも生かせます。


海外公演での反応はどうでしたか。

 どの公演でもアンコールの連呼でした。地響きするような音に感動するようです。またリズムも西洋のものとは違い、東洋的なリズムが珍しいのかもしれません。 
峯さんにとって「生涯学習」とは、また今後の抱負は何ですか。
 太鼓を通して、世代を超えて交流することが、私にとっての「生涯学習」でしょうか。
 また、これは抱負ではないのですが、少子化が進む中、4世代が太鼓という絆でつながっている保存会を引き継いでくれる人、つまり後継者をどうやって育てていくかが大きな問題です。太鼓の維持・管理も考えなければなりません。この先20年はやっていけるように、今から少しずつ準備をしています。


「大岩太鼓」はどこで見られますか。

 7月30日に茨木フェスティバルのパレードに、8月6日には忍頂寺小学校100周年記念で夜に巡行する予定です。
  また、大岩地区の秋祭が10月8日に行われます。午前(9:30〜12:00)と午後(17:30〜20:00)に地域を巡行しますので、多くの皆さんに見てもらいたいですね。