生涯学習センター きらめき講座
初めての日本画・日本画基礎

 きらめき講座のアトリエでは、「初めての日本画」「日本画基礎」の講座を開講しています。日本画の基本的な物のとらえ方から学んでいき、やがて自分の感性で作品が描けるようになることを目標にしています。
そこで担当の田村直子先生に、日本画の基礎知識や楽しみ方などについて聞きました。


絵画についての説明をする講師

画材や技法など日本画の特徴について教えてください。

 日本画では、麻と楮の繊維をすいた麻紙という紙を使用します。麻紙はもともと中国から伝わったものです。植物の繊維を使っているので非常に耐久性があり保存力も高く、優れた紙といえます。講座では手習い制作が終わった後に使用します。       
  絵の具は、岩絵の具と水干絵の具を使用します。岩絵の具はその名のとおり、岩を細かく砕いた絵の具。水干絵の具は顔料に胡粉を混ぜ合わせたもので、比較的初心者に使いやすい絵の具。どちらの絵の具も、洋画などで用いる絵の具のように顔料の中に媒剤(接着剤)を含んでいないので、膠水を加えて使用します。
  技法としては、洋画のようにキャンパスに直接絵の具で描いていくのではなく、まず写生やスケッチをして下図を制作し、本紙に写します。その後は、下塗りや彩色などいくつかの制作過程があります。また、箔を貼ったりすることも日本画の技法の一つです。

日本画の源流はどこにあるのでしょう。

 始まりを語る前に「日本画」という言葉を説明するのが、実は非常に難しいのです。
  近年の平面絵画をご覧になって、洋画であるのか日本画であるのか区別がつきにくい絵画があると思います。作品の主題が多様化しているため、単に画材の違いから洋画、日本画と区別されているとの見方もあります。また、明治時代に西洋画が入ってきたことから、日本で生まれた絵画(日本絵画)を「日本画」と呼んだのが初めだともいわれています。 
  この日本絵画もさかのぼれば、中国、朝鮮からの影響を受けた唐絵に対し、日本的な主題をもとにした大和絵(主に平安時代の絵巻物など)からいくつかの時代を経て、日本の伝統的な、また、独自の様式で描かれたものが、今日の「日本画」へと続いてきたともいわれています。

日本画に親しむ方法を教えてください。
 日本画に限らずさまざまな作品を鑑賞してほしいですね。それには、まず美術館に行くといいのではないでしょうか。美術館では絵画や彫刻などいろいろな展覧会が催されます。実際の作品を鑑賞することで、より芸術に親しむことができると思います。

日本画を鑑賞するときの着眼点は何でしょう。
  日本画には、余白の美しさを楽しむところがあります。全体の構図を見ながら描かれているものの色彩をよく見てほしいのです。絵画を見る機会が少ない方には、日本画絵の具の発色や描かれた形など技術的なところから見ていくことをお勧めします。

講座を通して受講生に伝えたいことは何ですか。
  この講座で、初めて日本画の画材に触れた方が大半なのですが、「難しい」という声がほとんどです。日本画の画材を扱って描くのは、専門知識や技術を必要とし容易ではありませんが、「まず、描くこと!」これしかありません。早く上手になりたいし、初めからきれいに描きたいという気持ちはあると思いますが、焦らずに素直な気持ちで制作すれば、そうしたものが不思議と作品につながっていくものです。また、日本の四季折々の自然に対する感覚も作品の表現につながると思います。がんばってください。