市民インタビュー
第31回
 茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、あなたもきっと勇気づけられることでしょう。

 定年後、趣味として自宅に天文台を設置し、地域の小・中学生、高校生にも開放して天体観測の楽しさを教えている。また、大学へ通い、そこで学んだ地球環境の大切さを伝えるため、環境教育のボランティアや地域の学校のクラブなどでもボランティア活動を行っている。
天体に関心を持たれたきっかけと自宅に天文台を作られた経緯を教えてください。
 大学では理科系の教員を目指し勉強していました。趣味ではカメラが好きで、特にレンズの仕組みがおもしろく、それが天体望遠鏡へとつながっていったのだと思います。自宅に天文台を作った経緯は、当時、勤務していた小学校に天文台があり、そこの天体望遠鏡でハレー彗星などを子どもたちと見て楽しんでいるうちに、自宅にもこんなものがあったらいいなと思うようになったからです。これは、定年後の生活を豊かにしてくれました。と同時に、地域の子どもたちが天体や地球環境などに関心を持つことに役立っているのを思うと、作ってよかったと満足しています。

地球環境に関する研究をされるきっかけは何でしょう。
 環境問題は教員在職中から子どもや保護者への話として取り上げていました。宇宙的規模で地球を見たとき、銀河系宇宙の2,000億ともいわれる星の中で、地球のように高度な生物をもつ星が存在する可能性は極めて少なく、地球が奇跡に近い星であることがわかります。それを考えると、私たちはもっと地球を大切にしなければならないということに気付きました。そこで、もう少し理論的に勉強しようと大学や大学院で宇宙や地球環境の研究をすることになったのです。
 地球の歴史において人類の出現はごく最近のことですが、今、その人間が地球の環境を脅かしています。地球を取り巻く環境は危機的な状態です。地球の大気の層はとても薄くラップを巻いたようなものなのです。それを人間が二酸化炭素を大量に排出して壊しているのです。人間はほかの動物から突出した存在だけにヒト社会の発展は地球環境にとってはマイナス・インパクトです。人間はあまりにも快適さばかりを追求し、こうした猛スピードの発展が、エネルギーや水、資源、食糧などを次世代、未来世代から前借りしているような状態にしているのです。

私たちにできることは何でしょう。
 個人の欲求を競い合うことはやめて、ゆっくりとした生活を営むライフスタイルへの変換が必要ではないでしょうか。地球の資源が限られていることを認識して、お互いにできるだけ物を共有する心掛けが大切だと思います。いずれにしても今のうちに、これからの子どもたちのために行動を起こさなければなりません。
スポーツにも興味をお持ちだと聞いていますが。
 バレーボールは、小・中学校、高校、大学を通してやってきました。実は、選手時代には苦痛に感じたことの方が多く、楽しいと思ったのは、社会人になってママさんバレーや3点バレーなどの指導をしてからです。水泳も、教員にとっては必須科目のようなものだったので練習し、退職後も続けていました。大会に出場してメダルも取りましたが、今は腰を痛めているので、特別なスポーツはしていません。 

これからの目標などはありますか。
 私は、60歳の定年を迎えるに当たって、自分がやりたいと思っていることを5年刻みにしてプランをたてました。定年後、大学や大学院へ通ったのもその一つです。今は、ボランティアをする第3期です。環境に関するボランティアをはじめ、保護司もしています。こうした自分の積み重ねてきたものを周りの人々に受け取ってもらい、また、自分も人から受け取ることができればとても楽しいことです。人に自分の知識を受け取ってもらうためには、自らが学ぶ姿勢を示さなければなりません。
 「人生、熱くなければ価値がない」と常々感じています。そして、「生きる意味」をいつも考えて行動したいと思っています。

 

天文台の天体望遠鏡
自宅の天文台