市民インタビュー
第32回
 茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、あなたもきっと勇気づけられることでしょう。

癒しの絵画を描きつづける
いわ
もと
ほう
さい
さん
 アートディレクターとして勤務した後、絵画の創作活動を始める。墨を主体とした作品を自ら「墨象画」と名付ける。多くの人に安らぎを与えられたらと、全国各地で絵画展を開催。また、チャリティー絵画展にも出品している。 
岩本さんの作品にはフクロウが数多く登場しますが、フクロウを描くきっかけは何ですか。
 私は、小学生の頃、大阪府能勢町に疎開していました。約2年間の疎開でしたが、何十年も経ってふともう一度その場所に行ってみたいと思うようになりました。さっそく能勢町へ出向き、思い出をたどりながら夕暮れの能勢の山を歩いていたときのこと。バタバタと1羽のフクロウが飛んできて、私のすぐ近くの枝に止まったのです。驚きのあまり身構えましたが、その可愛らしさに思わず笑みがこぼれました。フクロウはほんの2・3分で飛んでいきました。
 それから2か月後、フクロウを描いてほしいとの制作依頼が来ました。すぐに、能勢の山で出会った、丸い目でじっとこちらを見たフクロウを思い出しました。何か不思議な縁を感じた私は、受けたイメージのままを描きました。幸い、そのフクロウは好評で、それ以来フクロウを描き続けています。

ご自身が「墨象画」と名付けられている絵について教えてください。
 私の絵の描き方は、墨を主体に写実的ではなく思いつくままに筆を運びます。これを私は「墨象画」と呼んでいます。以前は色を最小限に抑えていましたが、フクロウの絵を描くようになってから色を増やすようになりました。絵がぐっと明るくなり、見に来られる方にも喜んでいただいています。 

画材としてさまざまな和紙をお使いだとか。
 いろいろな方からさまざまな和紙を紹介していただきます。高知や熊本、出雲地方の和紙も使わせていただきました。全般に和紙は色がのりやすく、発色もきれいで、にじみ具合に何ともいえない風合いが出ます。このように、さまざまな土地で独自に作られた和紙に出会えたことも、私の絵画の世界が広がったことの一つだと思っています。

作品には円相が使われていますが何か意味があるのですか。
 円相は、生き物、自然などこの世のすべてを、言い換えれば宇宙そのものを表しているということだそうですが、私は心の中にも宇宙があるととらえて、それを制作の基本としています。
描かれているお地蔵さまや観音さまの左右の眉の長さが違うのはどうしてでしょう。
 あまり完璧に描きたくないというか、顔の中に少しアンバランスの部分を残しておきたいのです。後は、ご覧になる方の想像力におまかせしますが、やさしさや温かさが顔から感じられると思うのです。

全国で絵画展をされているそうですね。
 たくさんの地域で絵画展を開き、多くの方と出会うことができました。それが私の財産ですね。作品の感想を手紙に書いて送ってくださる方もいます。また、新聞社が主催するチャリティー絵画展などにも出品しています。その収益金は、高齢者の方たちが使用する車いすの購入などに使われています。

作品を通して伝えたいことはありますか。また、今後の目標を教えてください。
 絵を観てそれぞれに感じていただければそれでいいと思います。私の絵の題材は、フクロウのほか、お地蔵さま、観音さま、達磨、カメなどですが、それらの絵といっしょに短い言葉も添えて、メッセージを出させてもらっています。   
 これからも制作活動に励んで、全国で絵画展を開きたいと思います。そして、一人でも多くの方に観ていただき、安らぎを感じてもらえたらとてもうれしいです。

 

岩本さんの作品