風が冷たいこの季節、熱い日本茶を飲むと心も体もほっとします。温かい部屋の中、おいしいお茶とお菓子でくつろぎのひとときを過ごしませんか。
 生涯学習センターきらめき煎茶道講座の摩嶋先生に、おいしい煎茶の入れ方を聞いてみました。
煎茶の入れ方の一例
花を生ける受講生
煎茶とはどのようなお茶を指すのですか。
 一般的に私たちが普段飲んでいるお茶を煎茶と思っていただいてけっこうです。日本茶の種類は、玉露、煎茶、碾茶(抹茶)、番茶(ほうじ茶)などに分けられ、製法は蒸し製法です。嬉野や青柳は釜炒り製法です。
 煎茶と玉露の違いはとよく聞かれます。玉露は香り高く甘みのあるお茶に育てるために茶葉に覆いをかけ遮光して育てますが、煎茶は覆いをかけないで育てます。
おいしいお茶の入れ方を教えてください。
 お湯はいったん100℃に沸騰させます。茶葉によって適温が違いますのでそれぞれの適温までさまして使います。煎茶の温度は60〜80℃、玉露は40〜60℃くらいがいいと思います。茶碗と急須は温めておきましょう。茶葉のおよその量を知っておくことも大切です。茶碗の大きさや好みによって違いますが、1人約4g、3人だと約10g強が目安です。玉露もこれくらいの量です。お湯の量は茶碗の半分より少し多めの量を用意します。お湯を急須に注いでから約2分おきます。玉露は2分半から3分です。お茶は少しずつ注ぎ回して各茶碗の味を均等にします。急須のお茶は残さず出し切ります。
 お茶にはビタミン類やカテキン、フラボノールなどが含まれていますので、残った茶葉にお湯を注ぎ、うがいに使うのもいいでしょう。
お菓子と大福茶
花を生ける受講生
マナーはありますか。また、新年などのお祝い事に飲むお茶について教えてください。
 マナーは、あまり堅苦しいことは考えなくてもいいと思います。ちょっとした心づかいとしては、茶碗や銘々皿がお客様の正面に向くように置くといいでしょう。お茶をよばれるときは、「おいしいお茶ですね」などの言葉を添えましょう。何より、お茶をいただくひとときを楽しむことが一番だと思います。
 お正月などのお祝い事には、大福茶(小梅と結び昆布を入れたもの)をいただきます。桜の塩漬けを浮かべるときは先に少し塩を落し、花の部分を使います。
煎茶道について教えてください。
 煎茶道も茶道の一種ですが、抹茶を使う茶道とは別のもので、茶葉と急須を使います。歴史は抹茶道より新しく、江戸時代の中期頃からだと考えられています。祖といわれているのは、高遊外売茶翁(こうゆうがいばいさおう)。煎茶の精神を示した翁は多くの尊敬を集め、その人格を慕った文人、墨客たちによって伝えられ発展していったと思われます。
 煎茶道の場合、お茶が2回出ますので、お菓子は1回目と2回目の間にいただきましょう。2回目の煎茶の方が苦味があります。席主にお茶や道具の話を聞くのも楽しいですよ。
煎茶席の点前座
花を生ける受講生