市民インタビュー
第34回
 茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、あなたもきっと勇気づけられることでしょう。

見山の郷交流施設組合理事長
さい
わき
よし
さん
 茨木市の市街地からバスで1時間もかからない山里に、地元の農家の人々が協力して、新鮮で安全・安心な野菜や加工品の味噌、パンなどを販売している「de愛・ほっこり見山の郷」があります。そこには、市内だけでなく市外からも多くの人が野菜などを求めて訪れます。
 そこで、この施設理事長の才脇さんに、施設の目的や今後の目標について聞きました。
運営にあたり、才脇さんが大切にされていることは何ですか。
 一番大切にしていることは、消費者の皆さんにおいしく安全なものを買っていただくということです。また、私たちこの地区の住民としては、ここの自然や農地を大切に守っていくということです。私自身、この地区の農家に生まれ育って、子どもの頃から当然のように農作業を手伝ってきました。10年前に仕事を辞め、また、ミニトマトの栽培など好きだった野菜作りを始め、この地区の風土も熟知していましたから、「見山の郷」で自分たちがなすべき方向はよく理解していました。それは、安全・安心な野菜や加工品を提供し、多くの人に喜んでもらい、またここへ来てもらう。それがこの地区の活性化につながり、また、活性化することで新たな野菜作りや加工品を生み出し、その結果が、自然や農地の保全につながるというサイクルを目指すことなのです。


「de愛・ほっこり見山の郷」(見山の郷交流施設組合)の理念を教えてください。
 「de愛・ほっこり見山の郷」は、平成13年に農事組合法人としてスタートしました。開設時に掲げられた経営理念は、自然に感謝し、地域の農業を守って、都市住民とふれあいながら、この地区の活性化を目指すというものです。この経営理念に基づいて、基本方針が作られました。新鮮でおいしく安心して食べられる安全な米や野菜、加工品などを提供することや農村文化を絶やさず伝承していくことなどが盛り込まれています。この理念のもと、私たちがここまでやってこられたのは、消費者の皆さんや地区の先輩たち、生活改善クラブ、女性会など多くの方たちの力があってのことで、今やっと実を結びつつあるのだと思います。


どのような農産物や加工品を生産・販売しておられますか。
 ここは、標高があり昼と夜との温度差が大きいので、土地に適した野菜を作っています。また、米、大豆、果物、椎茸、卵などを、加工品では、味噌、豆腐、米粉パン、餅、豆乳ジェラード、赤シソジュースなどを作っています。野菜や龍王味噌をはじめとする加工品は農業祭などでも販売し、おいしいと言っていただいています。好評の定食も、ここで育てた米や野菜を使い、里山でとれた山菜は天ぷらなどに使っています。

「安全・安心」のためになさっていることは何ですか。
 私たちは、野菜や米作りに手間暇をかけて、できるだけ農薬や化学肥料の使用を少なくするように心掛けています。組合員が「見山の郷」に出荷する場合は、品目ごとに農薬防除履歴報告書の提出が義務づけられています。また、大阪府が認証している環境にやさしい農法で、従来の栽培に比べて農薬と化学肥料の使用を半分以下にして生産する「大阪エコ農産物」の栽培にも取り組んでいます。


消費者と生産者との触れ合いの場は貴重です。今後の目標などはありますか。
 昨年は、5月に「こどもまつり」を開催、7月には「赤しそまつり」で梅干しづけの体験をしてもらいました。10月の「開店5周年収穫祭」では、ジャンボカボチャ品評会を開催し、来店者には新米を食べてもらったり、いっしょに餅つきをしたりしました。ほかにも、わら草履講習会や味噌づくり講習会を開きました。また、市内の小学生が見学に来てくれました。いずれはこうした催しに加えて、米や野菜づくりの体験をしてもらおうと考えています。
 ここは市街地からも近い所なので、多くの人に来てもらい活性化することで、この地区の休耕田を無くし、里山がきれいになることにつながればと願っています。また、定年退職をされた方などがここに来て農業を始め、生きがいをもって毎日を過ごせることができるようになればとも思っています。私は、農業というものは、何歳になったらやめるというものではなく、一生涯続く「生涯学習」そのものだと深く感じています。


新鮮な野菜
de愛・ほっこり見山の郷