最近、テレビや雑誌でメタボリックシンドロームという言葉を見聞きするようになりました。およその意味や予防が大事であることも分かってきましたが、もう少し詳しく知ろうと、『まなびどり』編集ボランティアは保健医療センターに出向き、メタボリックシンドロームの意味や茨木市の現状、予防する手だてなどを聞いてきました。

●メタボリックシンドロームとは何ですか。
 メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血圧、脂質異常、高血糖など生活習慣病の危険因子を2つ以上持っている状態をいいます。この状態を放置していると、動脈硬化が進み心臓病や脳卒中、糖尿病の合併症などを引き起こす危険が高まります。内臓脂肪型肥満とは、BMIが25以上、または、腹囲が男性85cm、女性90cm以上の状態をいい、内臓についた脂肪の面積≧100cm2以上に相当することを意味します。
※ BMI=体重(kg)÷ 身長(m)÷ 身長(m)

●原因は何ですか。

 メタボリックシンドロームの原因は、不規則な生活や過栄養、運動不足です。食べる量(摂取エネルギー)が活動に使う量(消費エネルギー)より多いと、その余ったエネルギーの多くは内臓脂肪として蓄えられます。また、メタボリックシンドロームの状態では自覚症状がないため、動脈硬化を進行させてしまいます。
※下記の流れを参照してください。

●該当者、予備群はどのくらいいますか。
 また、なぜ注目されているのですか。
 茨木市の平成18年度(2006年度)基本健康診査では、40〜74歳の受診者の8.1%がメタボリックシンドロームの該当者で、13.3%がその予備群であるとの結果が出ています。男性は、40歳代から該当者およびその予備群になる人が多く、女性は年齢を重ねるごとに増加する傾向が見られます。
 メタボリックシンドロームは、不健康な生活習慣の積み重ねで生じます。生活習慣病は一度発症すると完治が難しいので、指摘されてから対策をたてるのではなく、若い頃から食事や運動などに気を付けることが大切です。
 規則正しい食生活や運動を行うことで、生活習慣病を防ぐことができます。ひいては医療費の抑制にもつながります。

メタボリックシンドロームの発症およびその重症化の流れ
食べ過ぎ・運動不足など悪い生活習慣の積み重ね
内臓脂肪型肥満
   +
高血圧・脂質異常・高血糖のうち2 項目以上該当
動脈硬化の進行
重症化・合併症・虚血性心疾患(心筋梗塞・狭心症)・脳卒中(脳出血・脳梗塞など)
生活機能の低下要介護状態

●予防方法を教えてください。
1  規則正しくバランスのとれた食事を心がけましょう。(食事は主食、主菜、副菜をそろえることで、自然とバランスがよくなります。また、朝食を抜いたり、早食いをすると食べ過ぎてしまい、太りやすくなります)
2  食べ過ぎと寝る3時間前の食事は控えましょう。
3  アルコールは適量にしましょう。(ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合程度。週に2日は休肝日を設け、また、塩分や脂分の多いおつまみ類は控えるようにしましょう)
4  タバコはやめましょう。(喫煙は血圧を上げます。また、がんになりやすいなど、体に悪影響を与えます。現在では、禁煙補助剤が保険適用となり、治療が受けやすくなっています)
5  運動をしましょう。また、日常生活の中で体を動かすようにしましょう。(できるだけ歩くことを心掛け、階段の昇 降なども意識してとり入れましょう)
6  睡眠・休養を十分にとり、ストレスを解消しましょう。
7  年1回は健康診査を受けましょう。
 長年の生活習慣を変えることはなかなか難しく、途中で挫折することがあっても、あきらめずにまたチャレンジすることがメタボリックシンドロームの予防や改善につながります。

●保健医療センターで実施されている健康づくりに関する講座などはありますか。

 保健医療センターでは、メタボリックシンドロームの予防や改善のために、65歳未満の市民を対象に次の教室・講座を実施しています。
健康づくり教室(4日間コース)
 春・秋の年2回、生涯学習センターで実施。医師の講義、調理実習、運動などを行い、生活習慣を見直し改善する方法を学びます。
これから始めよう運動教室
 春・秋の年2回、生涯学習センターで実施。家庭で手軽に続けられる運動を紹介し、運動を始めるきっかけづくりをしています。
通信版健康づくり講座
 平日は忙しいという方でも受講可能な郵送での講座。メタボリックシンドローム予防編、減量編の2コースがあります。
 そのほか、地域などへの出前講座も行っています。
 平成20 年度(2008 年度)4 月から特定健診、特定保健指導がスタートしています。
 加入されている各医療保険者から特定健診の受診券および案内が届く予定です。詳しい内容、実施時期などをお知りになりたい方は、ご加入の保険組合へお問い合わせください。

茨木市保健医療センター 〒567-0031 茨木市春日3−13−5 TEL 625−6685