市民インタビュー
第35回
 茨木市民の中からいきいき生活の達人を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、あなたもきっと勇気づけられることでしょう。

イラストレーター
トヨ
クラ
タケル
さん
 茨木市で活躍しているイラストレーターがいます。ほとんどのイラストレーターが東京で活動する中、トヨクラさんは、あえて制作の拠点を茨木市の自宅に構えて、数多くの作品を世に送り出しています。トヨクラさんのアトリエでお話を伺いました。
絵を描くことに興味を持たれたのはいつ頃ですか。
 小さい頃から絵を描くのが好きでした。祖母が日本画家で、親戚にも絵を描く人がいたからでしょうか。母親は音楽教師で家でもピアノを弾いていましたので、芸術的な環境はよかったと思います。

元々は、司法の道を目指しておられたのですか。
 絵を描くことが大好きで、美術大学へも行きたかったのですが、それを自分の職業として考えたとき、ちょっと無理ではないかと思っていました。祖父が弁護士でしたから、絵は趣味としておいておき、職業としては司法の道を選んだほうが生活は安定するだろうと。周りの勧めもあり、大学は法学部を選び、弁護士になるための勉強を始めました。
 それが大学4 年生の12 月だったと思いますが、あることがきっかけで絵の方にいくことになったのです。友達のおじさんの「興味があるんだったら、職業として絵の道に進んでもいいのではないの」。この何気ない一言が、それまで心の中でふたをしていた絵への情熱を呼び覚まし、ダムから水があふれ出るように、絵を描きたいという気持ちが膨れ上がってきたのです。実際、司法の勉強は私にとってあまり楽しいものではありませんでした。1 週間考えた末、絵の道を選び、専門学校に通うことになりました。とりあえず、2 年間は全力でトライしてみようと。しかし、生活を家族に頼ることはしないで、職業として成り立つことをしようと絵のジャンルを問わず選択肢を広げ、考えた末、イラストレーターに挑戦してみようと思いました。

どのような絵を描いておられるのですか。
 私の作品は、紙やフェルトを使った切り絵が主です。最近では、銀行のキャッシュカードや、本の表紙、ホームページ、Tシャツ、電車の車内刷りなどにイラストを使っていただいています。作品は、人々の心を動かせるよう、心を込めて制作しています。また、作品を通して自分と社会とがつながっていられるように、常に私の絵を見てくれる人々を意識して創っています。

作品の根底に流れているものは何ですか。
 驚かせたいということでしょうか。小学校の時、夏休みが終わって、始業式に宿題の絵や工作などを持っていく時、「これを見たらみんな驚くだろうな」と想像している時の自分の気持ち。そんな感覚で今も制作しています。

トヨクラさんが描いておられるビジョンを教えてください。
 イラストレーションはとても面白く、やり甲斐があります。今は、すごく楽しいですね。理想を言えば、何の制約もなく、自分の好きな絵を描いて生活できることが一番でしょうが、なかなか難しいです。しかし、将来的には、自分の意志で描いた絵を買ってもらえるという、私はそれを「絵描き」と言ってるんですが、そういう仕事ができるようになればさらに幸せかなと思っています。
 絵を描き続けるということは、なかなか大変なことだと思いますが、それでも一生続けたいですね。いずれは、海外での個展、それもニューヨークでぜひやってみたいです。それが一番近い目標ですね。