市民インタビュー
第37回
 茨木市民の中から「いきいき生活の達人」を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、あなたもきっと勇気づけられることでしょう。

“生涯学習”を実践する
さか
もと
寿
さん
 今年90歳を迎えられる坂本さんは、茨木市が生涯学習センターを設立した最初の年(平成2年・1990年)から毎年欠かさず講座を受講されています。今も学ぶことが大好きな坂本さん。そのあふれるエネルギーの源はどこから来るのでしょう。 
生涯学習センターへはずいぶん前から通われているそうですね。
  養精中学校の横にできた時から通っています。当時は性の受講生が多かったのですが、しだいに定年退職をした男性の受講者が増えてきました。そのころは、日本と世界の農業に関する講座や経済に関する講座などを受講していました。生涯学習センターが畑田町に移り家から遠くなってからは、1講座だけを受講するようになりました。
 今、受講しているのは、西島先生の「江戸時代の町人文化−西鶴・近松から−」です。帰りのバスの待ち時間には、隣の図書館で本を読むことにしています。今読んでいるのは、鎌倉時代の『吾妻鏡』という歴史書です。

生涯学習センターでの受講の楽しみは何ですか。
 今、私が学んでいるのは、江戸時代の前半、上方が経済の中心だったころの西鶴や芭蕉、近松を代表とする町人文化についてです。私は大学で近世文学を専攻し、卒業論文が西鶴に関するものだったので、学者や時代の移り変わりによって、論じる所や捉え方がさまざまに変わることを知り、とても興味深く学んでいます。 
 私は若い時からずっと大学で勉強したいと思っていました。戦後の学制改革で男女共学になり、ようやく大学の門を叩くことができました。大学では、戦後大きく変わった世の中の流れも勉強しようと思いました。専門学校を卒業して10年以上経った昭和25年(1950年)のことです。
 そして今、私の学ぶ意欲は少しも衰えていません。世の中の変化に気付かないと、正しい判断ができないと思うからです。そのためにも、いろいろなことを積極的に学び続けたいと思います。また、講座では、人との出会いも大切にしています。若い人と話をすることは楽しいし、今の世の中を知ることにもなります。

ほかに趣味などはお持ちですか。
 観劇、謡曲、俳句、お茶、お花とさまざまですが、絵も描いていて、茨木市美術展には時々出品しています。昨年は、熊野古道の新緑を描いた「山の道」と題した作品が、日本画部門で入賞しました。
 私は城を見ることが好きで、特に山や谷、川の地形を利用して造った山城に興味があり、日本中を見て歩きました。
 海外へは55回行きました。戦争で亡くなられた方への慰霊と参拝がきっかけでした。その後、南米ペルーのマチュ・ピチュやアフリカのケニア、エジプトなどを訪ねました。シルクロードは、キリスト教、イスラム教、仏教に分けて歩き、それぞれの文化に触れ、多くの刺激を受けました。
 読書は今も大好きで、新聞やテレビは情報収集のためによく見ます。テレビは教育番組が好きで、中学や高校の英語、数学、理科などの講座を見て勉強しています。 
エネルギーの源は何ですか。
 何でもやってみようと思うことですね。私は好奇心が旺盛ですからやりたいことはすぐに行動に移します。結果的にできなかったとしても、何もしないよりはいいのです。もう一つは鈍感になることです。人の言動にピリピリしないのです。自分は自分。「気にせず明るく」を心掛けています。
 私がこうして楽しく暮らしていけるのは、子どもや孫、ひ孫が気に掛けてくれることと、もう一つ、ご近所の皆さんの温かさです。ほんとうにいつも親切にしてくださり、感謝しています。

「昨年、美術展に出品した作品「山の道」