歴史、芸術、経済、語学などさまざまなジャンルにおいて、知っておきたい事柄や興味深い出来事を、
生涯学習センターきらめき講座の講師の方々に、わかりやすく解説していただきます。
今回は、前期講座「人間関係を楽しもう! 生活に生かすコミュニケーション&コーチング」を担当してくださった
佐野智世先生に、コミュニケーション力について解説していただきました。
私たちの暮らしに、今や、携帯電話やメールは欠かせない存在です。 相手と対面しなくても、いつでも意思の疎通ができるからです。 しかし、話し相手と直接会って対話し、その場を共有することも大切です。 ともすると希薄な人間関係に陥ってしまう現代社会において、コミュニケーションが果たす役割とは何でしょう。 |
・円滑なコミュニケーションに大切なことは、まず、自分自身をよく理解することだと思いますが、 どのような方法がありますか。 |
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私たちは、「自分のことは自分が一番理解している」「あの人には自分を理解してもらっている」と思い込んでいるところがあります。しかし、実際にはそうではない場合があるのです。 アメリカの心理学者が自己理解を深める一つの理論として提唱した「ジョハリの窓」では、人の心には4つの部分があるとしています。 下の図表では、わかりやすいように4つの部分が均等に分かれていますが、実際にはきちんと4等分されているわけではなく、人それぞれに領域が異なっています。自分のことをもっと知りたい場合は、「開かれた窓」の領域を広げます。具体的には、他者から自分について知っていることを教えてもらうわけですが(フィードバック)、いつでも誰からでも教えてもらえるわけではありません。自分から他者に対しての意思表示が必要です。この行動を「自己開示(ディスクローズ)」といいます。 注意しなければならないのは、自己流に偏って物事を理解してはいけないということです。人はそれぞれに感じ方が異なります。今までの経験や生活習慣によって価値観も違っています。物事の本来の特徴や価値を正確に把握するためには、自分の価値観のみにとらわれず、物事を多面的に見ることが大切です。 そこで、先ほどの「ジョハリの窓」の理論を使って、次のような方法で客観的に自分を見てみましょう。 |
A) 自分も他者も知っていること 自分が自覚している長所、短所は何か。また、他者によく 言われることは何か。 B) 自分は知らないが他者は知っていること自分について他 者がどんなことを知っているか聞いてみる。 C) 自分は知っているが他者は知らないこと自分にはどんな 意外な行動があったか。また、どんな特技があるのか。 D)自分も他者も知らないこと今までに経験がないが、チャレ ンジしたいことは何か。 このような問いかけから、見過ごしていた自分の気持ちや思考、行動パターンなどに気づくことができ、自己理解がさらに深まり、今までとは違う自分を発見することができます。 |
コミュニケーションにおいて、言葉以外の要素には、ど
のようなものがありますか。 アメリカの心理学者が提唱した「メラビアンの法則」では、第一印象の決定要素として、言葉以外の要素が大きな割合を占めているというデータ結果が出ています。つまり、あいさつや敬語などの言葉遣い、話の組み立てなどの要素は1割ほどで、身だしなみ、表情、態度、動作などの要素や声のトーン・大きさ・抑揚、話す速さ、間の取り方などの要素が、人の印象の大部分を決定づけているそうなのです。これらの結果は、会話が言葉だけで成立するものではないことを物語っています。このことを意識すると他者との距離がぐっと近くなっていきます。
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・家庭や職場で今日から実践するために、まず心がけることは何でしょう。 |