市民インタビュー
第40回
 茨木市民の中から「いきいき生活の達人」を探し出し、紹介するコーナーです。話から見えてくるその豊かな人生に、あなたもきっと勇気づけられることでしょう。
「水玉の世界」を写す写真家
おお
しま
おさむ
さん
 定年後の生活をより楽しいものにしようと、趣味として写真を始めた大島さんは、ある日、「水玉の世界」に魅せられます。レンズを通して見える、直径2、3ミリの水滴の中には、美しい世界がありました。 
写真を撮ってみようと思われたのはいつ頃ですか。
 定年を5年先に控えた平成7年(1995年)頃です。常々、定年後は生きがいをもって生活したいと考えていたので、今からその準備をしておこうと思い、一石三鳥にもなる写真(アウトドアで健康に良い。いろいろな場所に行ける。結果が残り楽しめる)を趣味に選びました。結果的には、いろいろな人とのつながりも持てるという、一石四鳥になりました。

水滴の写真を撮ろうと思われたのはなぜですか。
 平成16年(2004年)の夏、展覧会で水滴の中に被写体が写り込んでいる写真(これを私は「水玉」と定義しています)を見て、とても驚き感動しました。今までこのような写真に出会ったことがなかったので、まさに青天のへきれきでした。私にもこんな写真が撮れないものかと半年以上試行錯誤し、やっと撮影方法を見い出して、今の作品につなげることができました。 

水滴の中の被写体がとてもはっきりときれいに写っていますが、どのように撮られているのですか。
 水滴の大きさはせいぜい直径3ミリ前後ですから、その中に写っている花などの被写体を撮るのは、実際には大変なことなのです。撮り方は私の写真集『水玉の世界』の巻末で詳しく説明していますが、小さな被写体を大きく見せるマクロレンズを利用しても、それだけではまだ「水玉の世界」には入れません。このレンズに焦点距離を変える中間リング(エクステンションチューブ)を装着することにより、倍率を上げ「水玉の世界」に入っていくことができるのです。多くの方がこの世界に挑戦されますが、一番難しいのはピント合わせです。2、3ミリの被写体にピントを合わせるのは根気が必要です。しかし、辛抱強く回を重ねていくときれいに撮れるようになると思います。    


「花のれん」

個展を見に来られるお客さまの反応はいかがですか。
 驚きと感動をもって見てくださいます。そして、とても癒されると言っていただいています。水滴やしずくなどは今までにも写真の素材としてよく使われていましたが、多くは脇役でした。その脇役である水滴を、中の被写体とともに主役としてとらえた「水玉」の写真は少なく、そこが、新鮮さを感じていただいていることの一つなのかもしれません。

写真誌での受賞や写真集の出版、各地での個展など幅広く活躍されていますが、今後の目標を教えてください。

 「水玉」は、夢だったフォトサロンでの個展と写真集の出版、多くの人との出会いをもたらしてくれました。私の写真のベースはネイチャーフォト(自然風景写真)ですが、これからも「水玉の世界」を撮り続けたいと思っています。そして、各地で写真展を開いて、見に来てくださる方々に少しでも感動と癒しを感じ取っていただければ幸いです。
定年後の生活は、趣味をもつことでずいぶん変わってくると思います。私は高校生の頃に少しだけ写真をやっていたので、趣味として写真を選びやすかったように、若いうちからいろいろなことを幅広くやっておくことをお勧めします。それが60歳くらいになったとき、定年後の楽しみの一つとなる可能性があるからです。

  雫の輝きが私にとって人と人とがつながる
  新たな輝きとなりました。
  そして一粒の雫だけれど
  無限の広がりを与えてくれました。



「紅葉」