市民インタビュー
第41回
市内81寺院を紹介した本を出版
とう
ひで
はる
さん
 茨木市観光協会の調査委員として、市内の観光につながる資料探しをしていた加藤さんは、茨木市にはたくさんの神社仏閣があることを知りました。
 そこでまず、市内の寺院を巡ることを思い立ち、訪ねること約2年。
その訪問の記録が、昨年、本として出版されました。
茨木市内の寺院を紹介した『癒し散策 茨木の寺院』を出版されたきっかけは何だったのですか。
 平成17年(2005年)4月に茨木市観光協会が設立され、私は観光協会調査委員会の委員を拝命することになりました。拝命後、調査に必要な資料を探しに、たびたび図書館に出向き資料を集めるうちに、茨木市にはたくさんの神社やお寺があることを知りました。観光につながる調査には、まず茨木市の歴史を知ること、そして、それには神社仏閣を訪ねてみるのがよいのではないかと思い立ち、さっそく寺院巡りから始めました。最初は自分のために記録しておくつもりが、お寺の訪問が40回を超えた頃から、一冊の本にして皆さんに紹介するのも調査委員の役割ではないかと思うようになり、今回の出版に至りました。

どのくらいの期間をかけて取材をされたのですか。
また、茨木市の寺院には何か特色がありますか。

 住職さんの都合などで、訪問できるお寺は1週間に1、2か所。81か所を巡るのに2年近くかかりました(茨木市には約100の寺院があります)。その後、編集などを経て、およそ3年後、ようやく本を出版することができました。
 私が訪れたお寺の宗派は、浄土真宗が53か所、浄土宗13か所、真言宗6か所、日蓮宗2か所、曹洞宗2か所、黄檗宗1か所、臨済宗1か所、融通念仏宗1か所、顕本法華宗1か所などでした。
 こうしてみると、浄土系のお寺が多いことがわかります。その中でも浄土真宗がもっとも多いのは、室町時代に生きた蓮如上人が摂津国に来られたことに関係するのではないかと私は思っています。

取材をされた寺院で蓮如上人に関係する事柄や遺物が何か残っているのでしょうか。
 取材で聞いたところ、蓮如上人の教えを受けて浄土真宗に転宗・転派したというお寺が数か所ありました。これらのお寺には、蓮如上人に関わる遺品などが残っているのでしょうが、実際に見ることはできませんでした。ただ1か寺で、蓮如上人の直筆と伝えられている「南無阿弥陀仏」と紙に記された書を見せていただくことができました。畳目が浮き出たその字に迫力を感じました。

今回の取材で印象に残っていることを教えてください。
 茨木市には、国や大阪府、茨木市の文化財指定を受けている仏像や遺物などがかなりあることを知りました。しかし、今回訪れたお寺のご本尊や諸仏などは、どれも皆すばらしい文化財だと思います。そして、お寺にもそれぞれの歴史があり、茨木市の歴史にもつながっているのだと感じました。
 また、取材をした多くのお寺では、今も檀家の方たちが集い、住職さんのお話を聴いておられます。最近では、若者の姿も見られるそうです。物の時代から心の時代へと変わりつつあることを実感しました。

加藤さんが目指しておられることは何でしょう。

 今回、取材をして感じたことは、茨木市にはどこの地域にも神社仏閣があるということです。まさに宗教の街、歴史の街です。また、緑にも交通の便にも恵まれたすばらしい街だと思います。このことを多くの人々に知ってもらいPRしていきたいですね。そして、茨木市がますます発展して、「北摂の小京都」と呼ばれるような、人々に親しまれる街になることを願って活動していきたいと思います。

加藤さんが出版した本、『癒し散策 茨木の寺院』