商工会議所はその名のとおり、商業や工業などに関係する団体ですが、
どのような仕事をしているのかを知っている一般の市民は少ないようです。
 そこで、茨木商工会議所を訪ね、その成り立ちや活動内容、また、会員
以外の一般の市民でも参加できる催しがあるのかなどを、専務理事の木
村さんに伺ってきました。
茨木商工会議所とはどのような所ですか。
その成り立ちと目的を教えてください。

 世界で最初の商業会議所は、1599年にフランスのマルセイユで誕生したと言われています。日本では、明治時代に、東京、大阪、神戸に設立されたのが始まりです。
 茨木商工会議所は、商工会議所法が昭和29年(1954年)に制定される以前の昭和23年(1948年)5月に設立されました。その目的は、地域の商工業を発展させ、総合的な経済の基盤をつくり、地域全体を活性化させ、ひいては福祉の増進につなげることにあります。
 運営するのは地域の会員の商工業者の皆さんで、事業の規模や業種、形態(法人、団体、個人)などに関わらず加入することができます。現在の会員数は約1,700です。

  

どのような仕事をされているのですか。

商工会議所の仕事は多岐にわたっています。
そのいくつかを紹介します。

最新の情報の提供

月刊誌『ハーモニック茨木』を発行し、これから行われる催し物の案内と報告、経営戦術などの誌上講座、その他のお知らせなどを掲載しています。専門家による講演会や講習会などの開催、経営に役立つさまざまな調査も行っています。
事業者などの要望書を市や府に提言

 市や府への提言として、地域の活性化につながる要望書の提出を
行っています。これまでもさまざまな提言をしてきました。例えば、国鉄(現JR)茨木駅の拡張、道路交通対策、鉄道の高架事業の推進、名神高速道路を走行する急行バスの停車、観光協会の設置などがあります。


各種書類の作成

 一般の方にはなじみが薄いと思うのですが、原産地証明書を、年間、約250件発行しています。海外への輸出の際、その物品が確かにこの地域で生産、製造、加工をされたということを証明する書類で、商工会議所は、世界で通用する唯一の発行所になっています。また、インボイスといって、売り主から買い主に出す送り状の証明なども行っています。
 ひと昔前には米の配給証の発行も行っていました。


経営者や従業員への教育、各種検定試験

 専門の講師を招いての新入社員研修や管理職・経営者研修を行っています。また、営業研修、税務・労務研修、パソコン研修、資格取得(簿記、福祉環境コーディネーターなど)のための研修、メンタルヘルス講座などを開催しています。さらに、簿記、日商PC、珠算、販売士、カラーコーディネーターなどの検定試験も行っています。
検定試験の中には、一般の方でも受験できるものがありますので、気軽にお問い合わせください。


経営相談

 資格をもった経営指導員が社会保険、税務、特許・商標など、経営上のさまざまな相談に応じています。弁護士による相談も行っています。
茨木市と連携して行っている事業や催しには
どのようなものがありますか。いくつか教えてください。

合同就職面接会

 昨今、就労できない人が増える一方で、人材を求める中小規模の企業があります。当会議所は、茨木市、ハローワーク茨木とともに、6月と10月に、合同就職面接会を開催しました。会場となる茨木市役所南館では、茨木市内を中心とした企業約20社の採用担当者が求職者と面接を行い、求職者は面接会のほか、セミナーや職業適性診断コーナー、就職相談コーナーなどにも立ち寄り、熱心に話を聞いていました。

茨木市プレミアム付商品券(茨木市ハッピー商品券

 7月初旬、茨木市が市内の消費拡大と地域活性化を目指して、1冊10,000円で10%のプレミアム(割り増し金)が付く茨木市ハッピー商品券を発行しました。発行前に当会議所を通じて取扱加盟店を募集したところ、約850店舗の応募がありました。販売当日は、朝早くから商品券を求める長蛇の列ができ、初日の夕方には全販売所で完売となりました。また、販売終了後も取扱加盟店の登録希望が相次ぎ、たいへん好評を得ています。なお、商品券の有効期限は今年の12月末となっています。





茨木フェスティバル

 多くの方が楽しみにしている「茨木フェスティバル」は、毎年7月下旬に2日間にわたって行われます。38回目を迎えた今年も、たくさんの市民で賑わいました。この祭りは、当会議所や茨木市、茨木青年会議所、茨木市観光協会が協力して開催しています。


子ども秋まつり

 9月下旬には、産・官・学連携(当会議所と茨木市、追手門学院大学、梅花女子大学・短期大学部、早稲田摂陵中学校・高等学校)の「子ども秋まつり」を開催しました。
吹奏楽や太鼓の演奏、読み聞かせ、泥団子づくり、マジックショー、子育て相談会などの楽しい催しに、子どもだけでなく大人も楽しめた祭りでした。


今後、どのような展開を目指しておられますか

 茨木市は、昭和45年(1970年)、大阪での万国博覧会開催以降、鉄道や道路が充実し、住宅が増えました。
高速道路へのアクセスもよいので、貸倉庫業者や輸送業者も増え、現在は、住宅のまちというだけでなく、流通のまちにもなっています。
関西国際空港へは、近隣の市の中で、茨木市にリムジンバスの発着所(阪急茨木市駅前、JR茨木駅前)があります。しかも、茨木市は自然にも恵まれているまちでもあり、図書館などの学習施設も充実している地域です。
 今後の課題は、地域に密着した雇用の安定を図ることだと思います。また、ミスマッチの雇用をなくすためにも、事業者に半年ほどの訓練期間をつくってもらい、それから就労していただく制度なども必要だと考えています。
 ところで、当会議所では、今年初めて試みた事業があります。結婚を前向きに考えている女性や男性のための「婚活パーティー」です。当会議所とつながりのある方々を対象に募ったところ、多くのお申込みをいただきました。このような男女の出会いの場を提供することで、将来的な地域の活性化や事業者の後継者不足の解消などに、少しでも効果があればという思いから、この企画が実現しました。パーティーは大盛況。次回の開催も検討しています。
 茨木商工会議所は、今後も地域の活性化を図るためにさまざまな取り組みを行い、茨木市に住むすべての人が元気になるまちを目指して、がんばっていきたいと思います。