市民インタビュー
第43回
音を楽しむ芸術家
さい
とう
まい
さん
 小学生の頃、フルートの音色に惹かれた齊藤さんは、フルート奏者になる夢を実現すべく、不利な条件を跳ね返し音大に入学。その後、数々のコンクールに入賞。
 現在は、クリスタルフルートやミュージカルソーのコンサートも開催。「音を楽しむ芸術家」がめざす音楽とは・・・。
フルートとの出会いはいつ頃ですか。 また、フルート奏
者になられるまでの経緯を教えてください。

 小学生の頃、テレビの音楽番組から流れるフルートの美しい音色が忘れられず、小・中学校は音楽部に入り、中学校で初めてフルートを手にしました。高校は音楽コースを選びましたが、本格的にフルートのレッスンを受けたのが高校3年生と遅く、音楽大学を受験するのには、あまりにも遅いスタートでした。先生からも「現役合格はおそらく無理だろう」と言われましたが、猛練習を重ねに重ねて、念願の音楽大学に合格することができました。
 入学後も、「君は入ってからが大変だよ」と言われましたが、そのことがバネになり、朝晩の猛練習を繰り返した結果、コンクールで賞をいただけるまでになりました。
 「齊藤は努力の人やなぁ」と言ってくださった先生は、今も私の目標とするところです。
 その後、大学院に進学。アンサンブルの楽しさに目覚めて、フルートアンサンブル「パステル」を結成し、数々の賞を受けることができました。大学院修了後は、各地でさまざまな演奏活動を行い、後進の指導にもあたっています。

 フルートは金属でできていますが、木管楽器に分類されます。もともとは、すべて木で作られていたのですが、改良を重ねるうちに加工がしやすい金属が主流になったのです。バロック時代にはフルートと言えばリコーダーのことでした。現在のキィ装置を備えたものができたのは、約200年ほど前で、ドイツ人演奏家によって確立されました。
 現在、私はクリスタルフルートという楽器での演奏活動も行っています。この楽器は、硬質ガラスでできていて、表面に花や葉の美しい絵柄が施されています。フルートとの大きな違いはキィ装置がないことです。半音はリコーダーのように指で穴を半分塞ぐことによって作っています。そのため、演奏できる調や曲に多少の制限はありますが、特訓次第では克服できるかもしれませんね。

フルートが主役の曲をいくつか教えてください。
 有名な曲は、ビゼーの『アルルの女』の「メヌエット」でしょうか。
 『ピーターと狼』や『動物の謝肉祭』の「鳥かご」のように、フルートが大活躍する曲がありますが、私はモーツァルトの『フルートとハープのための協奏曲ハ長調』が好きです。
この曲の演奏を、平成23年(2011年)10月に茨木市内で行う予定ですので、楽しみにしていてください。ハープもすてきな演奏者が来られますよ。

齊藤さんが目指しておられることはどんなことですか。
  現在、フルート奏者として、学校やホールなどでのソロ活動やオーケストラ、アンサンブルでの活動のほか、先ほど紹介したクリスタルフルートによるオーケストラ活動、また、ミュージカルソー(西洋のこぎり)のソロ・アンサンブル
活動も始めています(今年8月にアメリカで行われたミュージカルソー世界大会で準優勝しました)。「おまえは〜あほか〜」で有名なのこぎりが、こんなにすばらしい音色を奏でるなんて思ってもみませんでした。
 私が複数の楽器を演奏することについて、「あなたはフルート奏者なの?のこぎり奏者なの?」と聞かれるのですが、私は、楽器はあくまで手段だと思うんです。自分が創りたい音楽をそのときに必要な筆を使って描く。私はフルート奏者だけでなく、音を楽しむ音楽家でありたいし、芸術家でありたいのです。そんな私の演奏を楽しんでくださる方がいらしたら、それが最高!音楽はどんなときでも、聴いてくださる方がいらして初めて芸術になるのですから・・・。