私たち『まなびどり』編集ボランティアは、これまでに茨木市内の街道
や自然歩道、河川など、たくさんの自然や史跡を紹介してきました。
今回は、キリシタン自然歩道の一部とその周辺、昨年9月に開通した安威川ダム付替道路などを紹介します。
 キリシタン自然歩道は、阿為神社から国見峠緑地を通り、千提寺で泉原方面と長谷方面に分かれます。     
 今回は、千提寺口バス停からスタートしてキリシタン遺物史料館に立ち寄った後、キリシタン自然歩道に入り、しばらく歩道を歩いた後、忍頂寺スポーツ公園、忍頂寺寿命院を訪ねました。その後、車作から安威川ダム付替道路を通って桑原橋バス停まで歩きました。その距離およそ11キロ。寒さの中にもすがすがしさを感じる取材ハイキングとなりました。

  暮れも押し迫った12月25日(土)。寒さに震えながら、午前9時42分、阪急茨木市駅発忍頂寺行きのバスに乗車。午前10時29分、千提寺口バス停に到着。東に進路をとる。キリシタン遺物史料館の大きな案内板が見えてきた。案内板に従って歩いていると白いものがちらちらと降ってきた。予想どおりの雪だ。
 キリシタン遺物史料館は昭和62年(1987年)に開館した。ここ千提寺や下音羽地区は、キリシタン大名として知られる高槻城主高山右近の領地で、広くキリスト教が布教されていた。しかし、豊臣秀吉がキリスト教の布教と信仰を禁止し、徳川家康も禁教令を発布したため、右近や信者たちは追放されたり、死罪に処せられたりした。それ以降、信者たちは隠れて信仰しなければならなかった。その時の信仰の対象になったものなどが、隠れキリシタンの遺物として、この史料館に展示されている。
 午前11時5分、史料館を後にする。雪がちらつく中、忍頂寺スポーツ公園に向かう。キリシタン自然歩道に入り山道を歩く。枯れ葉が何重にも積もり、じゅうたんの上を歩いているようだ。杉、檜、竹林を抜け、しばらく歩いていくと田んぼの中にプールらしきものを見つけた。農作業をしている人に聞いてみると、忍頂寺小学校の昔のプールの跡だと教えていただいた。
 信号機のある交差点に出た。そこを西に曲がると忍頂寺スポーツ公園だ。雪はわずかに降っている。

 午前11時55分。忍頂寺スポーツ公園に到着。こんな雪がちらつく日でもテニスをしている人がいる。子どもたちの元気な声も聞こえる。この公園には、テニスコートやグラウンド、すべり台、散策路などがあり、併設の竜王山荘は宿泊施設でもある。四季折々に変化する周りの景色に、都会にはない豊かな自然を満喫することができるだろう。ここのテラスで昼食をとる。熱いお茶が体を温めてくれる。
 午後零時40分、忍頂寺スポーツ公園を出て再び信号のある交差点に出る。近くに竜王山自然歩道の標識があり、
そこから約10分で忍頂寺寿命院に着く。少し歩くと、「大阪みどりの百選・竜王山と忍頂寺」と記された石標を見つけた。新緑の季節が待ち遠しい。
 忍頂寺は平安時代初期に創建された寺で、山岳寺院として栄え、織田信長の時代には保護を受けたが、その後、キリスト教の伝播で焼き払われ、現在は、寿命院だけが残っている。

 寿命院から府道茨木摂津線に沿って車作方面へと向かう。しばらく歩くときれいに耕された棚田の美しい風景が見えてきた。遠くに安威川ダム付替道路が見える。

  安威川ダム付替道路は平成5年(1993年)に着工し、昨年秋に開通した。安威川ダム建設に伴い、将来水没する部分を17年の歳月をかけて付け替えた。府道茨木亀岡線の北は竜仙峡近くから、南は安威の長ケ橋近くまでの約5.4キロの付替道路には、450メートルの桑原大橋をはじめとする9つの橋と676メートルの車作トンネル、246メートルの大門寺トンネルがある。
 階段を下りて付替道路に入る。新しい道路は汚れもなく美しい。ダンプカーや乗用車がかなりのスピードで走っているが、広い歩道があるので歩くのに危険はない。
 少し歩くと大岩橋に着く。橋は大きく、地上からかなりの高さの所に造られている。雪まじりの風が体に強く当たって冷たくて寒い。
 眼鏡のような大門寺トンネルをくぐり抜けると、左手に紅葉が美しいことで知られる大門寺が見えてきた。その先の桑原大橋は、地上からの高さが50メートルはあるだろうか。橋の上から見渡すと、遠くに広がる街や山々がきれいに見渡せる。安威北弐橋、安威北壱橋を渡り桑原橋バス停へと向かう。雪はもうすっかりやんでいる。
 午後2時50分、桑原橋バス停に到着。所要時間約5時間。冬の景色を十分に満喫できた一日だった。