磨崖仏を後にして進路を北東の銭原方面に向ける。要所に山脈自然歩道の道標があるのがありがたい。ここでもウグイスの鳴き声が聞こえてくる。あちこちの木にはフジの花が品よく垂れ下がっている。遠くで正午のサイレンが鳴っている。
程なく「又地蔵の杉」に着く。かなり大きな杉である。根元には4体のお地蔵さまが鎮座していた。
「又地蔵の杉」から少し歩き、眺めの良い場所で昼食をとる。自然の風景の中での昼食は格別だ。
昼休憩も早々に再び歩き始める。辺り一面に咲いているレンゲが山の風景に彩りを添えている。府道余野車作線を横切って坂道を上ると銭原願証寺跡の五輪塔の標識が見えてきた。しばらくして五輪塔に到着する。
この五輪塔は普通の五輪塔とは異なり、宝塔などの残材を寄せ集めたような形態をもっている。地輪には三茎蓮華(さんけいれんげ)の文様が彫られている。
先ほどの坂道を下って府道余野車作線に入り東に向かう。銭原の風景を眺めながら道を下っていくと絶海国師隠棲地(銭原の石槽)を案内する道標に出合う。そこから坂を少し上ると絶海国師隠棲地に到着する。
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絶海は五山文学を代表する学僧であった。明(みん)から帰国後、天竜寺の首座に挙げられて足利義満も帰依するところであったが、義満の意に逆らって直言をしたことで怒りに触れてしまい、この銭原に隠棲したという。碑のそばには絶海が使ったといわれている石風呂がある。
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