茨木市教育センターは、市内の小・中学校に在籍するすべての児童・生徒が健やかな学校生活を送れることを願ってさまざまな取り組みをしています。
近年、子どもたちを取り巻く環境が変化し、それに伴う問題も生じています。未来を担う子どもたちが心豊かに育つ…その基礎の一つとなるのが教育です。
茨木市教育センターの前田惠子所長に話を聞いてきました。
教育センターはどのような仕事をしているところですか。
 仕事は大きく分けて4つ(情報・発信、研究・研修、教育相談、学校支援)あります。

情報・発信
 教育センターではICT(情報通信技術)の環境整備と構築を進めています。小・中学校との連携をより高めるために、紙による発行物やCDなどを
配布するだけでなく、ネットを使って各学校との情報交換などを行っています。
児童・生徒の学力向上に向けては、ICT 機器を使った授業の推進を図り、学校内でのさまざまな場面(生徒会や学習発表の場など)で使用する
情報機器類の充実も図っています。放課後や家庭での学習支援の一つとしては、ネットワークコンピュータを活用した「いばらきっ子スタディ」を
立ち上げています。授業でも使われるこのシステムは、音声や画像、アニメーションを使うなど、学習者に沿った対話的な教材になっており、
児童・生徒一人ひとりに合ったペースで学習することができます。 


研究・研修
  教育センターでは大学の先生などのアドバイスを参考に、さまざまなテーマの研究を行い、年度末にその内容を各学校に知らせています。
テーマは今日の教育課題、子どもを取り巻く社会的な問題、情報・理科・言語・支援教育などです。
 先生への研修は多岐にわたっています。管理職(校長・教頭)研修、初任者研修、スキルアップ研修、支援教育関連研修、児童・生徒理解講座、 学校教育相談実技研修、授業力向上研修、情報教育・理科教育研修などで、専門分野の先生などを招いて行います。これらの研修や講座から 得たことを教育現場に生かして、先生の授業力や課題対応能力が高まることを目的としています。




教育相談
 電話と来所による相談を行っています。電話相談ではいじめや教育に関するもの、義務教育修了後の奨学金に関するもの、
教職員対象のものなどがあります。来所による面接相談は教育センターと教育支援ルーム(教育委員会分室内)で行っています。
心理的・情緒的な問題に関する相談、言語遅滞・吃音などのことばについての相談と指導(幼児対象)、勉強の遅れ・集団行動・
コミュニケーション力などに関する発達相談、不登校相談などがあります。発達相談では必要に応じて発達検査を行います。
また、不登校相談では状況に応じて不登校児童・生徒支援室「ふれあいルーム」へ入級することができます。
 スクールカウンセラーが配置されていない小学校には教育相談員が出張して教育に関わる相談を受けています。
また、特別教育相談として、医師などが対応する相談を「広報いばらき」を通じてお知らせしています。 


学校支援
 障がいのある児童・生徒への支援として、巡回相談員が各学校を巡回し教員対象の相談を行っています。
学校の希望があれば支援教育に関する講話も行います。
 不登校児童・生徒への支援としては、先ほど触れました
「ふれあいルーム」のほか、学生ボランティアによる別室登校支援や
家庭訪問、「やってみよう!キャンプ」なども行っています。

その他(第2土曜科学教室)
子どもたちに科学の楽しさを知ってもらおうと、小学校3〜6年生を対象にした第2土曜科学教室を開催しています。
年々、参加者が増えてきたため、午前だけでなく午後も開催することがあります。内容は「水蒸気のはたらき」「ものが燃えるとき」
「植物のはたらき」などで、いずれも子どもたちが興味をもって学習できるテーマになっています。



教育センターが緊急に取り組むことは何ですか。
  後回しにできることは一つもありませんが、若手教職員の育成や児童・生徒の学力向上は重要な課題です。
また、各種相談機能も充実させているところです。


若手教職員の育成
 現在は団塊の世代との入れ替わりの時期で、茨木市では毎年70〜80人の新しい先生が入ってきます。これらの先生の支援として、
大阪府が20〜25回の研修を行い、そのうち、10回程度を茨木市が担当しています。また、3人のフレッシュアドバイザー(元校長)が
各学校に訪問して、先生の授業力向上のためのアドバイスを行うなどのサポートをしています。さらに茨木市がどのような歴史を
もつまちであるかを知ってもらうために市内巡りをしたり、人間関係を構築する場として、青少年野外活動センターでキャンプを
行ったりしています。

児童や生徒の学力向上
 児童や生徒の学力向上は重要な課題です。ネットワークコンピュータを活用した学習支援の一つである「いばらきっ子スタディ」は
授業内や放課後、家庭で活用されていますが、放課後に行う学習会にはスタディサポーターを派遣しており、家庭でインターネットが
できなかったり授業時間外にもがんばりたい児童・生徒は利用することができます。
 授業での学習支援では、支援サポーターや専門支援員がサポートの必要な児童・生徒などにアドバイスをします。


学校での相談
 冒頭で述べた4つの項目を基本にして、それらをより充実させていきたいと思います。そして、児童・生徒がよりよい環境で
学習できるように支援をしていきます。



教育センターの今後の展開について教えてください。
  後回しにできることは一つもありませんが、若手教職員の育成や児童・生徒の学力向上は重要な課題です。
また、各種相談機能も充実させているところです。




2011.12「茨木市生涯学習だより」