昼間はまだまだ日差しが厳しいけれど、朝の風はどことなく秋を感じさせるようなさわやかなある日、散歩に出かけようと思い立ち、茨木市の南方面に向かいました。
 心に残る良きことを期待しつつ、辺りの景色を眺めながらゆっくりと歩きました。

  阪急南茨木駅近くから線路沿いを南へと歩きましょう。200メートルほど先の踏切を渡ると蓮花寺があります。創建は奈良時代の天平元年(729年)。 行基(ぎょうき)が池の中に不思議な光が発せられているのを見て建立したと伝えられているお寺です。本堂には、本尊の薬師如来像のほか、平安時代の作といわれ、大阪府の文化財に指定されている地蔵菩薩立像と十一面観音立像が安置されています。このような由緒あるお寺がここにあるとは思いもよりませんでした。
 南茨木駅の方向へと戻り、中央環状線の高架下をくぐって300メートルほど東へ歩いていくと、文化財資料館があります。ちょっと中をのぞいてみましょう。
 展示室には旧石器時代の遺物から昭和の生活道具類に至るまで、数々の貴重な資料が並んでいました。また、ここは出土した遺物の調査や研究も行っているそうです。
 展示物はどれも興味深く、あっという間に時間が過ぎ去っていきました。
※蓮花寺の本堂への拝観は予約が必要です。

 文化財資料館を出てすぐ、北側にあるのが東奈良史跡公園です。ここには 東奈良遺跡から出土した銅鐸の鋳型の記念碑や馬、武人、家、舟などの 埴輪のレプリカが飾られています。決して広くはありませんが、心が和む 緑豊かな公園です。
  杉ケ本橋を渡ってしばらく歩いていると、南側に「銅鐸の鋳型出土地」と 書かれた大きな案内板を見つけました。銅鐸の鋳型(溶かした銅を流し込 んで銅鐸を作る型枠)などが出土した東奈良遺跡は、阪急南茨木駅を 中心に広がる弥生時代の大集落で、昭和48年(1973年)から翌年に かけて土器や石器など、多数の遺物が出土しました。中でも銅鐸の鋳型の 発見は大きな話題になりました。 
 


 JR貨物線の高架沿いを南東の方向へ少し歩きましょう。
SL公園が見えてきました。置かれている汽車は「D51」(愛称:デゴイチ)で、
日本の代表的な蒸気機関車です。通常は鉄柵の外からしか見ることが
できないのですが、見学会( 年5回ほど)では直接汽車に触れることが
できるそうです。楽しみですね。
 元茨木川緑地との交差点にやってきました。南角に緑豊かな樹木に
囲まれた佐和良義神社があります。南側の鳥居から北へ伸びる参道は
樹木のトンネルの中、静寂な空気が漂いとても趣があります。ここから
300メートルほど南へ歩くと、水神社、道祖神社が見えます。近くにある
イチョウの木の大きいことに驚きました。この辺りは茨木市の保存樹林に
指定されているそうです。
 日が高くなり、さわやかな空気も蒸し暑さに変わってきました。そろそろ
今日の散歩は終わりにしましょう。

2011.12「茨木市生涯学習だより」