『まなびどり』編集ボランティアは、これまでに茨木市内の旧街道や
自然歩道、河川などたくさんの自然や史跡を紹介してきました。
 今回は、平成16年(2004年)にまち開きをした彩都から郡山宿本
陣を目指して歩きました。
  今回のルートは、新しいまち彩都の中心部である大阪モノレール彩都西駅を出発し、あさぎ里山公園を通って、史跡
(国指定の文化財)郡山宿本陣を目指しました。平成の新しいまち並みと江戸時代の面影を今に伝える郡山宿本陣という
時代の対照的なものを紹介します。

   9月14日水曜日。まだ夏の日差しが残る中、午前9時34分阪急茨木市駅発彩都西駅行きの阪急バスに乗車。途中、JR茨木駅からもメンバーが加わって、国道171号から大阪モノレール彩都線に沿ってバスは進み、午前10時15分終点彩都西駅バス停に到着。
 このバス路線は今年7月から運行され、茨木市街地や大阪市内方面への交通のアクセスがよくなっている。 
 バスを降りたところは、大手スーパーマーケットなどの店舗が入る「ガーデンモール彩都」の前で、まちの中心部である。まず、駅周辺を見物。辺りを見渡すと、電柱や電線のない風景。遠景は、丘陵地のため視界が開け、大阪市内の高層ビルが見える。すぐ横の大阪モノレール彩都西駅に行くと、レールを北東に向けて延長できるように、少し先まで強固な基礎ができている。
 駅を通り過ぎて南に進むと彩都西公園がある。今年4月に一部オープンし、唯一の遊具である大型滑り台は、芝生グラウンドとつながっている。階段や散歩道でも下ることができ、大人も子どもも楽しめる。公園全体の完成は来年頃だそうで、広さが5万2千平方メートルにもなり、花壇や遊具も整ってくるとさらに楽しい憩いの場となるだろう。
 公園から来た道をバス停まで引き返す。北東のやや上手の方向に赤十字のマークが付いた日本赤十字社の建物が見える。この辺りは、大阪保健医療大学や日本食品分析センターなど生命科学に関する研究施設があって、ライフサイエンス系分野のゾーンになっている。その施設の多くがすでに研究開発などの活動を始めている。 

 





   「ガーデンモール彩都」を後にして、あさぎ大通りを10分ほど下っていくと、あさぎ里山公園がある。この公園は、一部、山の自然を残して作られている。公園内の散策道には自然木の階段が設けられており、登っていくと樹木が茂り、一瞬森の中に来たように感じる。コースを巡って公園を出ると、彩都西小学校がある。そこから再びあさぎ大通りを南に下り、彩都西中学校前の交差点を西に進むと、モノレールの高架手前に農産物直販所がある。店内には、岡山県の北東部美作市(みまさかし)周辺で生産された新鮮な農産物が販売されている。野菜のほか、地酒や精肉、特産品・加工品などのコーナーがあり、さらに、茨木・箕面の生産者の野菜販売コーナーもあって、彩都や付近の人たちに人気を博しているそうだ。
 直販所を出て南に進み、次の目的地須久久(すくく)神社に向かう。新しいまち彩都の雰囲気もここまでで、坂を下るとまもなく府道茨木能勢線に出る。そこから東へ歩くこと15分ほどの所の道路際に須久久神社の鳥居がある。一の鳥居から二の鳥居まで約50メートルの参道が続いている。

須久久神社は、茨木でも数少ない式内社(しきないしゃ)(平安時代の延喜式神名帳に登載され、当時の国家が祭祀した神社)で、天平12年(740年)4月5日右大臣大中臣清麻呂(おおなかとみきよまろ)が当地に籠居(ろうききょ)の間、ここに祖神を祀ったという由緒がある。静かな環境にたたずむ神社で、神殿も中規模ながら美しく整っている。

 須久久神社を出発し、国道171号の信号を渡って西国街道を東へ進むと、構えの大きな郡山宿本陣が見えてくる。
本陣に到着すると早速17代当主から説明を聞く。
 本陣とは、江戸時代の宿駅で、大名・幕府役人・勅使などが休泊した公認の宿舎のことである。郡山宿本陣は、屋敷の正門である御成門(おなりもん)横に見事な五色の花を咲かせる椿があることから「椿の本陣」とも呼ばれている。本陣ができたのは寛永12年(1635年)頃で、明治初めの廃藩まで240年余り続いた。当時、西国街道の京都から西宮までの間に山崎・芥川・郡山・瀬川・昆陽の5か所の宿場があった。郡山宿本陣は、その真ん中にある宿場として重要な役割を果たしていた。さらに、5か所のうち、今はここしか本陣が残っていないため、国の史跡に指定されている。当時使われていた品が数多く保存されていて、その中には、300年余り前の宿帳もある。そこには、赤穂城主であった浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)が刃傷(にんじょう)事件を起こす前年の元禄13年(1700年)5月に泊まった記録がある。
 1時間余り説明を聞かせてもらい帰路に着いた。国道171号の宿川原バス停まで5分余り。残暑厳しい中、新しいまち並みと昔の歴史に触れる楽しい一日だった。

2011.12「茨木市生涯学習だより」